2015/11/23

福島でDV相談が増加傾向 避難生活ストレスなど影響か

2015年11月23日 朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/ASHCM71WFHCMUGTB00W.

夫や恋人からの暴力「ドメスティックバイオレンス(DV)」に悩む女性が増加の兆しをみせている。福島県の「配偶者暴力相談支援センター」(DVセンター)への相談件数は、今年度上半期(4~9月)は781件。半年で昨年度の56%に達した。県は、東日本大震災後の避難生活のストレスや経済苦がDVを引き起こす一因と分析する。

県内9カ所のDVセンターへの相談件数は2008年度の1709件をピークに減り続けたが、12年度からは2年連続で増えた。昨年度(1404件)は減少に転じたものの、今年度は再び増加傾向をみせる。

県内のDVセンターに寄せられた相談件数

県によると、「避難先のアパートで夫に暴力を振るわれた」といった相談は後を絶たない。児童家庭課の担当者は「避難の長期化の影響を懸念している」という。

DVは殴る蹴るなどの暴行だけでなく、暴言や性行為の強要、携帯電話のメールの細かなチェックなど多岐にわたる。原発事故の賠償金を夫が使い込み、妻に渡さないケースもあった。

市町村も被害者支援に取り組む。会津若松市では相談員2人が電話や面談で対応。警察署に被害者の見守りを依頼したり、DV防止法に基づく裁判所への保護命令(接近禁止)申し立てを手伝ったりしている。離婚後も経済的に自立できるよう、看護師や保育士などの資格取得をめざす人に、最大月10万円を2年間給付する制度もある。

夫と離れたくても頼れる親類や友人がいないなど、行き場のない人の「最後のとりで」が「県女性のための相談支援センター」(福島市)だ。看護師や心理判定員らが常駐し、心身のケア、保護の申し立てや就業の支援、被害者の子どもの学習支援にあたる。

同センターの阿部郁子所長は「外傷があり、元気がない人がいたら。丁寧に話を聞いてほしい。そのうえで、かくまったり、その人の夫と掛け合ったりせず、警察や福祉窓口に速やかに届け出てほしい」と話す。

DVは子どもに及ぼす影響も大きい。原宿カウンセリングセンター(東京)の信田さよ子所長は会津若松市での講演で「DVに接した男の子は攻撃的になり、暴力でものごとを解決しようとしがち。女の子は自分の髪の毛を抜いたり、自傷したりする行為がみられる」と指摘。DVを振るう男性の大半が子どものころに家庭でDVを目撃しているといい、「世代間の被害の連鎖を止めなければならない」と訴えた。(池田拓哉)

0 件のコメント:

コメントを投稿