2015/11/23

母子避難の家族、童謡コンクールで銀賞/宮城

2015年11月23日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151123_13002.html

東京電力福島第1原発事故で福島市から北海道に3年間母子避難し、現在は仙台市で暮らす一家が、童謡コンクールの全国大会で銀賞に輝いた。「お世話になった人たちに感謝の気持ちを届けたい」と臨んだ大会。念願の舞台に立ち、家族で声を合わせる喜びをかみしめた。

仙台市泉区の会社役員武藤宏明さん(45)と長女妃音(ひなと)さん(8)、次女妃生(ひさき)ちゃん(6)は3日、東京であった「第30回全国童謡歌唱コンクールグランプリ大会」に出場。父と子でほほ笑ましい歌声を響かせ、ファミリー部門の7組中、2位の銀賞に選ばれた。

妻祥子(あきこ)さん(36)は三女妃花里(ひかり)ちゃん(1)と客席から応援した。元気いっぱい歌う3人の姿に目を細めた。

声をそろえて歌う武藤さん一家
2011年3月、原発事故を受けて祥子さんと子ども2人は宏明さんの実家のある函館市に避難した。仕事の都合で福島市の自宅に残った宏明さんと会えるのは年に数回だけ。祥子さんは「現実から逃げるように何にでもチャレンジしていた」と当時を振り返る。妃音さんと妃生ちゃんは歌が好き。童謡コンクールの北海道ブロック大会に2回挑んだが、全国大会出場はかなわなかった。

昨年、仙台市に新居を構え、1人増えた家族みんなでの生活を取り戻した。「支えてくれた人たちに元気でいることを伝えたい」と、3度目の挑戦を決めた。

曲は「あおいそらにえをかこう」。姉妹で振り付けを考え、足踏みをしたり、手を掲げたり。祥子さんのピアノ伴奏で練習を重ね、東北大会を1位で勝ち抜き全国大会出場を果たした。

<青い空に絵をかこう 大きな大きな船 あの船にのって出発だ ボクらのしまへ>

新たな道を進み始めた家族を象徴するような歌詞。祥子さんには古里福島市の風景も重なる。

「幼いころに見た空の下に帰りたい。一日も早く元の福島に戻ってほしい」

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