(福島県がかかげてきた18歳未満の医療費無料が、実は財源が確保されていないという。政府も、経産省も拒否。自主財源に頼っているということ。福島県が「子ども・被災者支援法」を根拠にしたい、というのは歓迎だが、政府に要請すると共に、県の姿勢を省みてほしい。法の理念の実行に向けて、県も努力を。 子ども全国ネット)
2016年3月18日 福島民報
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2016/03/post_13488.html
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「お大事にどうぞ」。診察を終えた子どもが母親らと手をつなぎ、次々と診療所を後にする。
3月初旬。インフルエンザが流行する中、小児科のある福島市のいちかわクリニックには朝からひっきりなしに患者が訪れていた。子どもの付き添いで来た福島市の会社員高橋紀子(35)は「福島は自然豊かで子育てしやすい環境が整っている。それに医療費がかからないのは子を持つ親として心強い」と話す。
東京電力福島第一原発事故を受け、県が始めた18歳以下の医療費無料化を高く評価する。その上で「なくてはならない制度」と訴える。
しかし、県の担当者は表情を曇らせる。県にとって誤算が生じていた。
平成23年11月、知事の佐藤雄平(当時)は国による医療費無料化を強く要請したが、政府は「税の公平さを欠くため、国の事業としての対応は難しい」と拒否。最終的に国の財政支援で設けた「県民健康管理基金」を財源に県が実施することで決着した。国は前面に出ないが間接的に財政面で支える形となった。
これを受け、政府は24年3月に成立した福島復興再生特措法に、県民健康管理基金などへ「必要な財政措置を講じる」との文言を書き込んだ。県の担当者らは医療費無料化の財源が法的に担保されたとの認識だった。
ところが、その後に状況は一転する。県民健康管理基金の原資となった交付金を所管していた経済産業省が「基金を活用した医療費無料化は認められない」と通告してきた。はしごを外された形となった県に対し、国はいまだに明確な理由を説明していないという。
基金が活用できなくなったため、県は25年度以降、自主財源でやりくりしている。費用は年間約40億円に上る。県は日本一安心して子どもを産み、育てやすい環境を目指しており、担当者は「何とか続けたいが、県の負担は大きい」と先行きを不安視する。
県は法律への明記や国の財政支援を政府に繰り返し求めているが、成果は得られていない。
県が期待する法律の一つが24年6月に議員立法で成立した子ども・被災者支援法だ。「無料化を継続する財源の根拠にしたい」(県児童家庭課)とするが、いまだに前向きな動きは見られない。(敬称略)
3月初旬。インフルエンザが流行する中、小児科のある福島市のいちかわクリニックには朝からひっきりなしに患者が訪れていた。子どもの付き添いで来た福島市の会社員高橋紀子(35)は「福島は自然豊かで子育てしやすい環境が整っている。それに医療費がかからないのは子を持つ親として心強い」と話す。
東京電力福島第一原発事故を受け、県が始めた18歳以下の医療費無料化を高く評価する。その上で「なくてはならない制度」と訴える。
しかし、県の担当者は表情を曇らせる。県にとって誤算が生じていた。
平成23年11月、知事の佐藤雄平(当時)は国による医療費無料化を強く要請したが、政府は「税の公平さを欠くため、国の事業としての対応は難しい」と拒否。最終的に国の財政支援で設けた「県民健康管理基金」を財源に県が実施することで決着した。国は前面に出ないが間接的に財政面で支える形となった。
これを受け、政府は24年3月に成立した福島復興再生特措法に、県民健康管理基金などへ「必要な財政措置を講じる」との文言を書き込んだ。県の担当者らは医療費無料化の財源が法的に担保されたとの認識だった。
ところが、その後に状況は一転する。県民健康管理基金の原資となった交付金を所管していた経済産業省が「基金を活用した医療費無料化は認められない」と通告してきた。はしごを外された形となった県に対し、国はいまだに明確な理由を説明していないという。
基金が活用できなくなったため、県は25年度以降、自主財源でやりくりしている。費用は年間約40億円に上る。県は日本一安心して子どもを産み、育てやすい環境を目指しており、担当者は「何とか続けたいが、県の負担は大きい」と先行きを不安視する。
県は法律への明記や国の財政支援を政府に繰り返し求めているが、成果は得られていない。
県が期待する法律の一つが24年6月に議員立法で成立した子ども・被災者支援法だ。「無料化を継続する財源の根拠にしたい」(県児童家庭課)とするが、いまだに前向きな動きは見られない。(敬称略)
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