2016/03/29

新天地の篠山でパン販売開始 福島から避難の女性/兵庫

2016年3月29日 神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/news/tanba/201603/0008936971.shtml

福島第1原発事故の影響で、福島市で営んでいた天然酵母のパン店を閉め兵庫県篠山市に避難移住した橋本敬子さん(46)が、同市福井の自宅に石窯を手作りし、再びパンの製造販売を始めた。材料には一部、自家栽培する作物を使い、まきや竹でパンを焼く。「循環型の生活を大切にしたい」と新天地で再出発した。(井垣和子)

かつてのパン店は福島県庁前の通りに沿った街の中心街にあり、14年間営業した。以前から原発に疑問を持っていた橋本さんは原発事故後、放射能測定器の貸し出しや講演会を開く市民グループの世話人を務めた。

活動の中で、福島の人のために行動する丹波地域の住民と出会い、市営住宅に自主避難者を受け入れていた篠山市に2012年2月、両親と共に避難移住した。同年4月には妹一家も合流した。

今も古里に思いを寄せ、福島出身者や篠山市民と一緒に、放射能の影響で梅干し作りができない福島の知人らに、こちらで手作りして梅干しを送る活動なども続けている。

事故前から「田舎で自給的な生活をしたい」と考えていた橋本さん。悩み抜いた末、篠山で生きようと決意し、同市福井で田畑と栗林付きの古民家を購入。自ら改装して14年7月に市営住宅から転居した。田畑では無農薬で野菜やコメを栽培している。


「酵母の動きと火加減を合わせるのが難しい」と橋本敬子さん。
手作りの石窯を使ってパン作りの試行錯誤を続ける=篠山市福井
生活が軌道に乗り始めた昨秋、レンガ造りの石窯を蔵に築き、パン作り再開にこぎ着けた。橋本さんは「今後、うちの畑で取れた野菜や小麦をパンに生かしたい」と笑顔を見せる。

予約販売のみで注文は「ゆぴベーカリー」のホームページから。配達料は全国540円、篠山市内200円(大芋地区は無料)。

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