2016年3月23日 福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2016032329760
国土交通省は22日、1月1日時点の公示地価を発表した。県内住宅地の平均変動率は前年と同じプラス2.9%となり、2年連続で全国最大となった。前年、変動率が上昇した地点の全国上位を占めたいわき市で動きが鈍化した一方で、福島、大玉、三春などの市町村で上昇幅が拡大。県や専門家は東京電力福島第一原発事故に伴う避難者が、いわき市以外の避難先やその周辺部で宅地を買い求める動きが広がっているとの見方を示した。
県内の住宅地の平均変動率は震災直後の平成24年にマイナス6.2%に急落した後、25年に同1.6%と下落幅が縮小し、26年にはプラス1.2%に上昇。27年は同2.9%に伸びた。県は今回、平均変動率が横ばいとなった背景について「いわき市を中心とした移転需要が27年にピークを迎え、同市での土地取引が落ち着いたことが要因」と分析している。
県内主要4市などの地域別・用途別平均変動率は【表】の通り。いわき市の住宅地はプラス6.7%と依然として高水準だが、前年より0・6ポイント縮小した。前年は全国の調査地点の中で上位10地点を占めたが、今回は8位(13.4%)と10位(13.0%)のみだった。
郡山市は景気回復に基づく需要が落ち着き、上昇幅が0・6ポイント縮小し、3.2%。会津若松市も周辺地域の過疎化による流入人口減少などで0・3ポイント縮み1.2%だった。
一方、福島市の上昇幅は0・7ポイント拡大し3.4%となり、地価が震災前の水準に回復した。県は市内に避難した飯舘村や浪江町などの住民の中で、定住する動きが出始めていると見ている。
大玉村では土地取引件数が急増し、県平均を大きく上回るプラス5.1%となった。仮設住宅の入居者や郡山市などから移転する避難者を中心に土地需要が高まっているとみられる。三春町でも葛尾村の住民らが宅地を求める動きなどが活発化し、同2.8%となった。南相馬市も避難者の移転需要が高く、同4.9%だった。
国交省土地鑑定委員会の本県代表幹事を務める不動産鑑定士の鈴木禎夫氏(郡山市)は「いわき市などで地価が高止まりしているのは新たに開発する土地が不足し、値頃感のある土地に需要が集中しているため」と指摘する。
その上で「震災から5年が経過し、コミュニティーを形成した避難先に定着する流れが出ている。双葉郡に近く人気が高い、いわき市北部を除き、避難者の定住先が各地に分散する動きが進んでいる」と話した。
■県内商業地 プラス0.9%
県内の商業地の平均変動率はプラス0.9%で、前年より0・1ポイント拡大した。主要4市はいずれも前年に続きプラスとなった。福島、郡山、いわきの3市は飲食店の増加やホテルの高稼働率など復興需要が続き、会津若松市は地価水準の低い商業地で上昇が見られた。
工業地も企業立地補助金を活用した工場の新増設などを背景に福島、郡山、いわき、白河、須賀川の各市で平均変動率が上昇した。
いわき市が福島県内最高6.7% 公示地価上昇率
2016年3月23日 福島民友http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160323-060019.php
国土交通省は22日、1月1日時点の公示地価を発表した。住宅地の県平均上昇率は前年と同じ2.9%で2年連続の全国最高、3年連続の上昇となった。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の避難者が集中するいわき市が県内最高の6.7%になるなど高水準の価格を保ったが、被災者や一般の住宅需要が落ち着いてきており、全体的には上昇率が縮小傾向に入った。
いわき市では、住宅地2地点の上昇率が13%以上で全国の上位10位以内に入った。しかし、全国の上位10位を独占した前年ほどの勢いはなくなってきており、高い水準ながらも被災者らの住宅需要が落ち着いてきている実態を裏付けた。
このほかの市町村別の住宅地では、避難区域が隣接、あるいは近隣の福島市や伊達市、都市部に近く地価の水準が比較的低い二本松、大玉、三春、西郷など中通りの各市町村を中心に上昇率が拡大した。双葉郡に隣接する南相馬市も上昇に転じた。郡山市は上昇率が3.2%と中心部などで高い水準を保ったが、それ以外で住宅需要が落ち着き始め上昇幅が前年を下回った。
会津若松市は1.2%と中心部などで上昇したが、商店街の空き店舗増加など地場産業の不振や周辺地域の過疎化で流入する人口が減少したことなどにより他地域より力強さに欠けた。
住宅地、商、工業地を含む県全体の平均変動率は前年と同じ2.4%で3年連続の上昇となり、全国2位の上昇率だった。商業地は0.9%(前年0.8%)と2年連続で上昇し、工業地は2.0%(同1.7%)で3年連続のプラス。標準地は418地点(前年比22地点増)で、上昇が263地点(同14地点増)と6割を超えた。横ばいは62地点(同8地点減)、下落は66地点(同5地点減)だった。
昨年9月に避難指示が解除された楢葉町は住宅地2カ所が標準地に復活した。
<地価公示>福島住宅地 上昇率トップ
2016年3月23日 河北新報http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201603/20160323_73016.html
国土交通省は22日、2016年1月1日現在の公示地価を発表した。東北では東日本大震災や東京電力福島第1原発事故に伴う移転需要で福島県が2年連続で住宅地の上昇率トップとなった。宮城県の上昇率は住宅地で全国2位、商業地で3位だった。両県とも住宅地の伸びは鈍化しており、震災による移転需要は落ち着きつつある。住宅地や商業地などを合わせた全国平均は前年比プラス0.1%となり、8年ぶりに上昇した。
6県と仙台市の平均地価と変動率は表の通り。住宅地は宮城で調査地点の約7割が上昇。15年12月に開業した仙台市地下鉄東西線の沿線需要などが押し上げた。福島も全体の7割がプラスだった。秋田は住宅地、商業地とも下落率が3年連続で全国最大だった。
東日本大震災の沿岸被災地の住宅地をみると、宮城、岩手で移転需要がほぼ収束状態となった。宮城県石巻市はプラス0.7%(15年3.0%)と上昇が鈍化。宮城県東松島市はマイナス0.1%(同0.2%)と下落に転じた。岩手県大槌町もマイナス0.4%(同0.0%)だった。
地点別の上昇率は、福島県いわき市泉ケ丘1丁目(13.4%)が全国8位、いわき市平下平窪3丁目(13.0%)が10位だった。
商業地は宮城で調査地点の7割弱で上昇した。JR仙台駅周辺の再開発用地などへの投資需要の旺盛な仙台市がけん引した。福島は2年連続で上昇し、青森、岩手、秋田、山形は下落幅が縮小した。
県庁所在地では長年の地価下落による値頃感などに需要が喚起され、盛岡市で住宅地がプラス0.6%と18年ぶりに上昇に転じたほか、山形市も1.4%と16年ぶりのプラスとなった。
東北の調査地点は計1808地点。15年9月に原発事故の避難指示が解除された福島県楢葉町の2地点が対象に加わり、休止は15地点となった。
[公示地価] 国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて公表する土地の価格。今回の調査地点は、住宅地、商業地、工業地の計2万5270カ所(うち福島県の15カ所は休止)。土地の価格の指標はほかに、都道府県が7月1日時点の地価を公表する基準地価や、国税庁が公示地価を基に算出する主要道路沿いの路線価などがある。
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