2015/05/13
熊本/福島の子、招き4年 保養キャンプなど各地で盛況
2015年5月13日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASH545RSZH54TLVB00K.html
福島第一原発事故の影響による低線量被曝(ひばく)への不安を抱えていたり、外で遊べずストレスに悩んだりする子どもたちを無料で熊本に招待する「保養キャンプ」が今春も県内各地で開かれた。主催者たちは「誰も来なくなるまで取り組みを続けたい」との気持ちで、地道に活動を続けている。
3月末、合志市野々島の「花の果樹園」に子どもたちの笑い声が響いた。
「4年が経ち、福島を忘れて孤立させないために」と、熊本YWCAが主催。4泊5日の日程で、参加したのは福島と熊本の小学生計31人。最終日のこの日はイチゴ狩りを体験した。
参加した福島市の小学生渡辺萌花(もか)さん(11)は、「放射能を気にしないで遊べるし、熊本のみんなとも交流できて楽しい」。地元では除染していないところでは遊ばないようにと言われ、草も気軽に触ることができないという。「さっきは花の蜜も吸えました。おいしかった」と笑うと、草花や地面をなでた。
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県内での保養キャンプはこのほか、浄土真宗本願寺派が県内各地の寺院に子どもたちと保護者を泊める「お寺ステイ」や、震災直後の2011年夏に小野泰輔・副知事らが発起人となり始めた「0(ゼロ)円キャンプスクール」などがある。
福島県双葉町出身の短大生黒沢美咲さん(20)は、高校生のころから「お寺ステイ」に参加し、今年は高校時代の友人と一緒にボランティアとして子どもたちの面倒見役を買って出た。
実家は原発からは直線距離で5キロのところにあり、震災翌日から一度も帰ることはできていない。同じ町の出身と言って県外でいじめられた友人もいるといい、「出身を言うのに抵抗を感じる」こともあるという。それでも、「こういう場があるといろんな人と話ができて、励まされます。がんばらないとなあと思えました」。
お寺ステイ事務局の藤岡崇史さん(46)は「来る人たちの話を聞くと、まだまだ福島の状況は変わっていない」と話す。同様の取り組みは全国の寺院で開催されているが、「できるだけ遠くに」という思いが強いためか、九州の応募はすぐに埋まるという。
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だが、震災から4年。その月日は課題も突きつける。0円キャンプの資金源は寄付や助成金だが、年々減少。関心の低下とともに、資金難に悩んでいる。YWCAでも12年以降、今回までキャンプを実施できていなかったのは、やはり資金面の壁が大きかったという。
そんな事情を知る藤岡さんは言う。「県内各地のキャンプを一緒にやるとか、やり方を考える必要もある。需要は多い。誰も来なくなるまで、続けないといけないから」
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