2015/10/01

【各紙報道】9/30発表 福島大による母子のストレス調査


放射線、親子の不安消えず 
福島大が市内でストレス指数調査

2015年10月1日 日本経済新聞
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASDG30H8N_Q5A930C1CR8000/

東京電力福島第1原子力発電所事故後、福島市内居住の母子が抱える放射線への不安やストレスは年々減少しているものの、下がり幅が小さくなっていることが30日、福島大学などが実施した調査で分かった。

調査は今年1月、福島大災害心理研究所の筒井雄二所長らが実施。福島市内の小学生や幼稚園児とその母親3300組のほか、福島県いわき、相馬両市や、避難指示地域から県内外に避難している小学生とその母親127組などを対象とした。

福島市については事故発生の2011年から毎年調査を継続。幼稚園児の母親が感じる放射線への不安数値(上限2.0)は、11年が1.19で、以後12年1.03、13年0.85、14年は0.58と一定割合で低下したが、15年は0.54にとどまった。小学生の母親も同じ傾向で、「一定の放射線の危険性が続けば不安は消えない」と筒井所長は分析した。

同市の小学生とその母親のストレスも11年以降、毎年減少したが、14年と15年の数値にほぼ変化がなくなった。

ストレス分析では、避難中の母子共に高い傾向が見られた。鹿児島県や兵庫県の母子を対象にしたストレス調査と比べると、「いらいらする」と答えた母親の割合は避難中が79%に対して他県は56%、「集中できない」とした子供も避難中が56%だったのに対して他県は33%だった。




母子のストレス減少下げ止まり 
原発事故受け福大心理研5回目の調査
福島民報 
 2015/10/01
http://www.minpo.jp/news/detail/2015100125683 

東京電力福島第一原発事故が県内の子どもと保護者に与える心理的ストレスは年々少なくなっているものの、下がり幅が小さくなる「下げ止まり」の傾向を示していることが分かった。福島大災害心理研究所の筒井雄二所長(共生システム理工学類教授)が30日、福島市の同大で記者会見し、明らかにした。

調査は平成23年6月に開始以降、今回で5回目。1月に福島市やいわき市などの幼稚園児、小学生の子どもを持つ保護者計約4700人から回答を得た。原発事故後の行動の変化や、体の変調など影響の度合いを点数化し集計した。

受けたストレスが最大の場合を3ポイント、最小を0ポイントと設定。小学校高学年の子どもを持つ保護者の平均は23年の調査が1.63ポイントで今回は前回(26年1月)と同じく1.36ポイントだった。

ただ、他県(1.04ポイント)と比べると依然として高い数値を示しており、筒井氏は「このままの高い状態で推移する可能性がある」と語った。

■「外遊びさせない」3.1%
 
母親と子どものストレスの地域間比較の今回の調査結果は【グラフ(1)】の通り。

避難地域から県内外に避難している母親と子どものストレスは避難していない県内各地の母子と比べると高くなっている。筒井氏は「避難した人は仕事や住居、学校など生活環境のさまざまな変化が、ストレスになっているのではないか」と分析した。

母親の放射線への不安に対する主な質問の回答推移は【グラフ(2)】の通り。子どもに外遊びをさせるかとの問いでは、23年に「させない」は66.7%だったが、27年には3.1%にまで減少した。

食品を購入する際に産地を気にするようになったかとの項目では、24年に「非常に気にする」は70.8%あったが、27年は42・3%となった。









原発事故、ストレス減少限界か
福島の親子調査


http://www.niigata-nippo.co.jp/world/national/20150930208503.html
2015/09/30 新潟日報
 
調査結果について記者会見する福島大の筒井雄二教授(右)ら
















 
福島大などのグループは30日、東京電力福島第1原発事故が福島県内の子どもと保護者に与えるストレスに関する調査結果を発表した。年々ストレスは少なくなっているものの、下がり幅が小さくなっていることが分かった。

同大の筒井雄二教授(心理学)は「子どもや保護者が感じるストレスは、これ以上小さくならない可能性がある。ストレスを発散できる環境整備が必要」と話している。

調査は2011年6月に開始以降、今回で5回目。ことし1月の調査で、福島市やいわき市などの幼稚園児、小学生の子どもを持つ保護者計約4700人から回答を得た。




<原発事故>母子ストレス 宮城県南は福島並み

2015年10月1日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201510/20151001_13045.html

東京電力福島第1原発事故による心理的影響について、宮城県南部で暮らす母子が感じている不安やストレスは福島市に住む母子と同程度との調査結果を、福島大の筒井雄二教授(実験心理学)らの共同研究グループが30日、発表した。

調査はことし1月、宮城県南部(白石市、角田市、丸森町、大河原町)の幼稚園児か小学生を持つ保護者を対象に実施。福島市のほか鹿児島など他県の保護者に対する調査と比較した。

子どものストレスでは「赤ちゃん返りがある」と答えた母親の割合が7%で、福島市(9%)とほぼ同レベル。他県は1%だった。母親のストレスに関しても「気分が落ち込む」との回答が55%に上り、48%の福島市と大きな差がなかった。他県は35%。

共同研究に参加し、福島大で記者会見した東北大大学院の吉田浩子講師は「母子のストレスは福島県だけの問題ではないことが裏付けられた」と述べた。

研究グループは、避難区域から福島県内外に避難した小学生の母親も同様に調査。67%が「気分が落ち込む」と答えるなど、ほぼ全項目で避難区域外の母親より、ストレスの度合いが高かった。放射線量が高い地域を離れた安心感よりも、住み慣れない場所での避難生活によるストレスが強く表れたとみられる。

調査は2011年以降、県内の保護者に実施。今回初めて宮城県南部と避難区域の母子らを対象に加え、計約4300人の回答を比較した。



親子のストレス減、底打ちか 原発事故で福島大調査
2015年10月01日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151001-017035.php
震災、原発事故による保護者や子どもへの心理的影響を調べている福島大災害心理研究所は30日、福島市の幼稚園児と小学生、その保護者を対象に、東北大、名古屋大の研究者と実施したアンケートの調査結果を発表した。2011(平成23)年以降、母親と子どもの放射能に対する不安やストレスは年々ほぼ軽減しているが、下げ幅が小さくなっていることが分かった。

調査は1月に行われた。11年6月に開始以降、今回で5回目。母親が抱えるストレスと、保護者の回答から把握できる子どものストレスを「ストレス得点」として数値化した。受けたストレスが最大の場合を3ポイント、最小を0ポイントと設定。小学校高学年の子どもを持つ保護者の平均は11年の調査で1.63ポイントだったのが今回は1.36ポイント。前年調査と同じ数値だった。小学校高学年の子どもの平均は、11年は0.83ポイントだったのが今回は0.66ポイントで、前年から0.01ポイントしか下がらなかった。

同研究所長の筒井雄二福島大共生システム理工学類教授は「子どもや母親が感じるストレスはこれ以上小さくならない懸念がある。ストレスを発散できる環境整備が必要」と述べた。また、ストレスの軽減の傾向は県内全域で同じ、との見方を示した。調査は福島市内の小学生、幼稚園の親子3308組から回収したデータを分析した。






原発事故による親子のストレス、
改善傾向止まる 福島大研究所、今年の調査
2015年10月 1日 朝日アピタル
http://apital.asahi.com/article/news/2015100100025.html
東京電力福島第一原発事故による福島市内の子どもと保護者のストレスで、昨年まで続いていた改善傾向が今年は止まったことがわかった。福島大の災害心理研究所が30日に発表した。今年初めて調べた宮城県南部でも、市内と同程度の不安などがあったという。

調査は、原発事故の心理的な影響を調べるため、幼稚園児や小学生の子どもがいる福島市内の母親に、2011年から自身と子どもの状態を尋ねている。今年は避難指示区域やいわき市、相馬市などの母親まで対象を広げ、宮城県丸森町など同県南部の4市町の母親にも初めて質問用紙を送付した。比較のための兵庫、鹿児島両県も加え、計4733組の親子に関する回答を分析した。

「突然、震災のことが思い出される」「物音にビクッと驚く」といった質問への回答を点数化したところ、福島市内の小学校高学年の母親のストレス得点(最高3点)は昨年と同じ1・36(11年は1・63)。子どものストレスも0・66(同0・83)で、昨年をわずかに0・01下回っただけだった。

同研究所の筒井雄二所長は、ストレスの減少傾向が横ばいになった理由を「除染しても放射線量は事故前よりは高いまま。いまだに放射能を意識せざるを得ない日常の不安があるため、ストレスが弱まりにくくなっている」と分析している。

ストレスの強さを地域ごとにみると、避難指示区域から避難している母親が1・85で最も強く、相馬市1・48、福島市1・36、いわき市1・29と続く。いずれも兵庫・鹿児島の平均1・06を上回る。避難指示区域で高いのは、避難生活が長びいている影響もあるとみられる。

気分が落ち込むことが「ある」と答えた割合は兵庫・鹿児島の平均35%に対し、避難指示区域は67%、宮城県南部は55%。福島、相馬、いわきでも45%を超えた。筒井所長は「ストレスを抱えながらも明るく生きられるよう、前向きになれる心理療法などで支援したい」と話す。

宮城県では、小学校低学年の親のストレス得点が1・40、高学年の親が1・42。不安得点(最高2点)は低学年の親が0・47、高学年の親が0・53で、福島市の親とほぼ同じだった。

原発事故直後から同地域の空間線量などを調べている東北大学ラジオアイソトープ研究教育センターの吉田浩子講師は「線量は福島県北部の相馬市や伊達市と変わらない。原発事故による心理的影響は福島県だけの問題ではない」と話している。(大岩ゆり、江戸川夏樹)
福島市の母親のストレス得点の推移 




 















避難の母子、ストレス顕著…福島大調査

2015年10月01日 
毎日新聞 
http://mainichi.jp/select/news/20151002k0000m040077000c.html

東京電力福島第1原発事故で福島県の避難指示区域から県内外に避難する母子のストレスが、区域外の母子より著しく大きいことが福島大災害心理研究所の調査で分かった。放射能への不安と長期の避難生活が要因とみられ、研究所と県は1日、ストレス軽減に向けた取り組みを始めた。【小林洋子】

 ◇放射能に不安

研究所は2011年から毎年、避難者ではない福島市などの母子を対象に調査。今年は、避難指示区域から避難する母子103組を初めて加えて1月に実施した。アンケート方式で子どもは19項目、母親は8項目を質問。ストレスが最も大きいとされる回答を3ポイント、最小を0ポイントに設定し、平均値で分析した。

避難指示区域の子どもでは、小学校低学年が平均で1.06ポイント、高学年は0.98ポイントだった。2739組を調査した福島市の母子のうち小学校低学年は0.75ポイント、高学年は0.66ポイントと低かった。比較のため調査した鹿児島県と兵庫県計609組では、低学年が0.44ポイント、高学年が0.42ポイントにとどまった。

一方、小学校低学年の子どもを持つ避難指示区域の母親は平均で1.64ポイント、高学年の母親が1.85ポイント。福島市では、低学年の母親が1.39ポイント、高学年が1.36ポイント。鹿児島県と兵庫県では、低学年が1.08ポイント、高学年が1.06ポイントだった。

研究所長の筒井雄二教授(実験心理学)は「避難指示区域の母子は放射能への不安に加え、避難先の生活などで大きなストレスを抱えていることが改めて浮き彫りになった」と指摘している。

また、区域外の母子のストレスの数値も昨年から変化がほとんどなく、高止まりしている。このため、研究所と県は1日から市町村と協力し、少人数のグループで母親に集まってもらい、気持ちが前向きになるよう専門家が助言するプログラムをスタートさせた。




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