2015年11月02日 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20151102ddm004040043000c.html
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」は、東京電力福島第1原発事故について情報公開請求で入手した公文書約6万ページをインターネット上にまとめて公開している。「福島原発事故情報公開アーカイブ」と名付け、事故対応の経過や責任を将来にわたって検証することを目指す。研究者やジャーナリストらに公文書の提供を呼びかけ、中身を充実させていくとしている。
7月に公開したアーカイブ(http://www.archives311.org/)は、政府・東電統合対策室の内部会議の会議録やメモなどの政府文書、福島県の県民健康(管理)調査を実施する福島県立医科大内の会議資料をはじめとする自治体文書など、約3000件をPDFファイルにして収録している。検索画面に、文書を作成した行政機関名と「除染」「甲状腺」などのキーワードを入力すると、関連文書一覧が表示される。
クリアリングハウス理事長の三木由希子さんが、2011年の事故発生直後から準備を進めてきた。(1)事故の最終的な収束が見通せない(2)放射性物質による健康被害は表面化するまで時間がかかる(3)因果関係を巡る論争が激しい−−ことを受けて、被災者やジャーナリスト、専門家らが必要な公文書をいつでも閲覧、分析、検証できる仕組みをつくる必要があると考えたという。
事故発生から4年半以上が経過した。三木さんは「政府や福島県などは交渉・調整過程を明らかにせず、被災者に結論だけを押しつけている。公開すれば混乱や反発が起きることを恐れたのだろうが、行政はそれでも公開して向き合うのが仕事のはずだ」と情報公開に後ろ向きな行政の姿勢を批判する。
東京都新宿区にあるクリアリングハウスの事務所には、既にアーカイブに収録した分とほぼ同じ量の公文書が残っており、今後もPDF化作業を続ける。さらに、事故関連の情報公開請求を続けているジャーナリストや研究者に対し、「行政文書開示決定通知書」を添付した上での公文書提供を呼びかけている。三木さんは「収録文書を増やしていくとともに、『賠償』『避難』『線量測定』などと分野ごとに整理したい。どのような情報が公開されていないのかも明らかにしていきたい」と話す。
問い合わせはクリアリングハウス(03・5269・1846)。
【日野行介】
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