2016/03/11

6割強で住宅無償打ち切り 九州への東北3県避難者


2016年03月11日  西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/230548

東日本大震災で被災した東北3県から県外への避難者に対する住宅支援の縮小に伴い、来年3月までに住宅の無償提供を受けられなくなる九州在住の避難世帯が64世帯、159人に上ることが、西日本新聞の10日現在のまとめで分かった。多くが福島第1原発事故を理由に自主避難してきた人たちで、九州7県で住宅支援を受けている避難者97世帯の66%に当たる。復興の進展に伴う支援縮小だが、これらの避難者は自己負担で九州に残るか地元に戻るか、決断を迫られる。



被災地から県外への避難者に対する住宅支援は災害救助法に基づく。避難先の自治体が民間住宅を借り上げ、家賃は避難者の出身県が肩代わりし国が全額補填(ほてん)する。このほか避難先の自治体が独自に公営住宅を無償提供するケースもある。

震災から5年たち、岩手、宮城、福島の3県では原発事故の避難区域解除や災害公営住宅の建設が進み、避難者が戻れる環境が整いつつある。福島県は昨年、浪江町など原発事故に伴う避難指示が続く自治体以外からの「自主避難者」については、来年3月で住宅支援を打ち切る方針を表明。避難先の自治体の対応が焦点となっていた。

九州7県によると、現在住宅支援を受けている避難世帯は、福島県出身者が最も多く80世帯。このうち自主避難世帯は52世帯で、本紙の取材に対し、各県とも福島県と歩調を合わせ、来年3月に支援を終了する方針を明らかにした。福岡、熊本、宮崎の3県が独自に行っている県営住宅の無償提供についても、熊本は今月末、福岡、宮崎は来年3月に取りやめるという。

宮城県も災害公営住宅の整備に伴い支援を縮小、九州への避難者15世帯のうち、12世帯の支援が来年3月までに終了する。岩手県からの2世帯は支援が続く。

宮城県から避難し、福岡市の県営住宅に入居する50代男性は今年9月で支援が終了することになり「想像以上に打ち切りが早かった」と途方に暮れる。福岡で暮らし続けたいが、貯蓄もなくなり、住居確保の見通しはついていないという。

福岡県の被災者支援団体「市民ネット」の飯田真一代表は「本格的な自立に向け、住宅の支援終了はやむを得ない面がある。避難者が抱える個別事情に沿った支援が引き続き必要だ」と指摘。原発事故の賠償に詳しい大阪市立大の除本理史(よけもとまさふみ)教授は「自主避難者が路頭に迷う。支援終了は時期尚早だ」と批判する。

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