2016/03/04

放射線本 影響の根拠、市民向けに解説 多分野の研究者


2016年3月4日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160304/k00/00e/040/227000c

多分野の研究者たちが放射線の人体への影響に関連した重要な32本の論文データを市民向けに解説した「放射線必須データ32 被ばく影響の根拠」(創元 社、税込み3024円)が3月10日に出版される。編集呼び掛け人の坂東昌子・愛知大名誉教授(素粒子論)は「多くの人にとって放射線を考える手がかりに なれば」と話す。

福島第1原発事故後、放射線の人体への影響についての分析や評価がネット上などにあふれたが、同じデータで異なる解釈が存在するなど、正確ではないもの も少なくなかった。坂東名誉教授はデータ本来の意味や問題点を整理する必要があると考え、若手研究者らに呼び掛けた。

京都大や大阪大などの30、40代中心の若い研究者14人が応じ、フリー編集者と中学の元理科教諭も加わった。数百本の論文を調べ、議論を重ねた。元論文と表現が変わっていたり、最新のデータや解釈が反映されていなかったりしたケースもあったという。

248ページ。動物実験、広島・長崎の原爆被害、チェルノブイリ原発事故の疫学調査データなどを収録。がんなどの病気▽子ども▽胎児▽内部被ばく−−な ど、影響が心配される6項目に分けて解説している。被ばく線量の単位「シーベルト」や放射線の防護基準に関するコラムもある。

著者の一人、角山雄一・京都大助教(放射線安全管理学)は「この本を読めば、研究者が何を根拠に放射線の影響を議論しているか、より正確に分かる」と話す。【吉田卓矢】

データ集と執筆した研究者ら
=京都市内で2016年2月15日午後6時37分、吉田卓矢撮影

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