http://www.nnn.co.jp/news/160301/20160301009.html
東日本大震災から間もなく5年。職業や住居など失った生活環境を取り戻そうとしてきた被災者や避難者の現状はさまざまで、不安を抱え続けている。鳥取県内への避難者にアンケートを続ける鳥取大大学院工学研究科の浅井秀子准教授(社会基盤工学)は「東日本大震災の被害は非常に広範囲。これまでの復興の“方程式”は通用せず、複雑な問題が残っている」と話す。
「一括の支援で再建できるものでもない」と避難者の生活再建の難しさを語る 浅井准教授=鳥取市の鳥取大 |
浅井准教授は、遠距離長期避難者の支援の在り方を把握する目的で、2011年10月から県内避難者への調査を開始。1年目68世帯、3年目77世帯、5年目70世帯にアンケートを依頼し、現在の生活への満足度、必要な支援などを尋ねている。昨年10月に5年目の調査を終えた。
アンケート結果の分析によると、避難者は特に生活基盤となる住居についての不安が大きい。県の避難者支援では、県営住宅や職員住宅を家賃全額免除で提供しており、14年度末までに54世帯が入居。32世帯が退去したが、独立したくてもできない世帯もある。
当初入居条件は1年更新だったが、県は昨年度に19年度末までの延長を決めた。ただ、支援がいつまでも続くわけではなく「支援を前提に日々の生活が成り立つ世帯には、いつ打ち切られるかという不安が常につきまとう。将来設計ができない人は少なくない」と浅井准教授。期限付きの雇用など、就業環境でも同じ問題を抱える場合がある。
回答には「『いつまで支援をされているのか』という周囲の目もある」、「支援は確かにありがたいが、受け身にならざるを得ない」という声も。浅井准教授は「先の見えない真っ暗なトンネルを歩いている感覚の人もいる。一筋縄にはいかない」と話し、個々の状況に応じた支援の在り方を考える必要性を指摘している。
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