2015/10/11

自主避難9261戸、過半数県外 福島「みなし仮設」、詳細を初開示 内閣府と県

2015年10月11日
http://sp.mainichi.jp/shimen/news/20151011ddm041040134000c.html


自主避難している福島県の世帯の主な市町村別戸数

東京電力福島第1原発事故の自主避難者に無償提供されている「みなし仮設住宅」の昨年末時点の戸数を内閣府と福島県が明らかにした。避難指示区域を除く戸数は9261戸、うち県外は4845戸で過半数を占めた。県はこれまで自主避難者について約9000戸(約2万5000人)と概数だけ公表していたが、市町村別の状況も判明。1000戸以上が自主避難するのは3市、これを含め100戸以上は10市町に広がっていた。【日野行介】

毎日新聞の情報公開請求に内閣府と県が資料を開示した。みなし仮設は公営住宅や民間賃貸住宅を借り上げたもので、避難指示区域と避難者のいない県西部を除くと県内44市町村の避難者に提供されている。このうち最多はいわき市の2864戸で、郡山市1778戸、福島市1612戸と続く。県外への避難に限ると福島市1404戸、いわき市1194戸、郡山市1064戸の順だった。

ただ、避難指示区域と区域外が混在する南相馬市のみなし仮設は県内最多の5962戸(うち県外2809戸)で、ここには区域内からの強制避難者だけでなく区域外からの自主避難者もいるとみられるが、今回の戸数には含まれていない。こうしたことから自主避難者の総戸数は変動する可能性がある。

◇「打ち切り」決定後ようやく
自主避難者へのみなし仮設提供を巡っては、福島県が6月に来年度末での打ち切りを決めた。これを受けて情報公開請求したところ、提供期限について福島県と内閣府が協議した今回の資料が開示されたが、昨年9月に同種の資料を請求した際には黒塗り(非開示)だった。

国と県は打ち切り決定まで、自主避難者に関する情報について「公にした場合、国民の誤解や臆測を招き不当に混乱を生じさせる恐れがある」としてほとんど明らかにしてこなかった。

自主避難者の交流会を主催し、これまで情報公開請求を繰り返しては非開示とされてきた埼玉県の吉田千亜さん(38)は「自主避難者は孤立しがちで『避難した自分はおかしいのではないか』と悩み続けており、戸数は重要な情報だ。打ち切りまで隠していたのはひどい」と憤る。

情報公開制度に詳しい田島泰彦上智大教授は「打ち切り決定まで議論の材料を与えないよう隠していたのではないか。避難者と向き合う姿勢がなく、説明責任を放棄している」と批判した。

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