http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1004/mai_151004_3027457543.html
福島県産米の放射性物質を調べるため実施されている全量全袋検査 =福島県二本松市で2015年8月、横田香奈撮影 |
東京電力福島第1原発事故を受け、福島県は2012年産以降の県産米について放射性物質の全量全袋検査を続けている。基準値超えは年々減少し、14年産(販売用)はゼロ。今年8月下旬から検査が始まった15年産でも出ていない。毎年約1000万袋(1袋30キロ)以上を検査し、50億円前後の費用がかかるが、「信頼回復はまだ完全ではない」として当面、全袋検査を継続する方針だ。
国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)以下の米袋には「安全シール」が貼られ、出荷が許可される。県によると、検査で基準値を超えたのは、12年産71袋、13年産28袋。14年産は、放射性物質の低減対策をしていなかった自家用の2袋だけだった。土中のセシウムを吸着させるカリウムをまくなどの対策が進んだ結果とみられる。
事故が発生した年の11年産はサンプル検査だった。県は同年10月、国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)超えの米は見つからなかったと「安全」を宣言した。だが1カ月後に規制値超えが相次いで見つかり、翌年から全袋検査に変更。約40億円かけ検査機器202台を購入し、県全域に配置した。12〜14年度の3年間で人件費や機械の稼働費など計約150億円かかった。費用には東電の賠償金が充てられる見込みだ。
JA新ふくしまの菅野孝志組合長は「3年間のデータを踏まえれば、サンプル検査でも安全性を確保できるのでは」と話す。ただ、県が13年に県内外の業者や消費者など約600件を対象に実施したアンケートで、7割以上が全袋検査を「評価できる」と支持。「実施しない場合、県産米を食べる(取り扱う)か」との質問には過半数が否定的だった。
県水田畑作課の担当者は「11年は出荷を進めるため安全宣言を出したが、結果的に消費者の信頼を失ってしまった。全袋検査をやめるのは信頼を取り戻せたとき。今はまだその段階ではない」と話している。【横田香奈】
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