2015/10/05

マイナンバー制度:「原発避難10万人…居住先把握困難」

2015年10月05日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20151005k0000e040167000c.html



マイナンバー制度スケジュール

国民一人一人に12桁の番号を割り振り、年金や納税の情報を一元的に管理する「マイナンバー法」が5日施行された。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で県内外に約10万6000人が避難する福島県。市町村の担当者は「避難者の居住先を正確に把握できず、マイナンバーの通知が届かないケースが相次ぐのでは」と懸念する。

原発事故で避難指示が出るなどした県沿岸部や飯舘村など13市町村の避難者は、原発避難者特例法に基づき、住民票のある各市町村などに居住先を届けることで、避難先の自治体から行政サービスを受けられる。しかし、こうした仕組みを知らなかったり、転居を繰り返すうちに届けなかったりする人もいるとみられる。

実際、南相馬市が避難者の届け出で作成された名簿に基づき、マイナンバーの通知を知らせる手紙を事前に郵送すると、約2万人のうち約2000人の郵便物が転送され、転居していたことを確認できたが、300人余は「宛先不明」で戻ってきた。担当者は「宛先不明者の情報をどう把握するか、早急に検討したい」と頭を抱える。

自主避難者の多い福島市も悩みを抱える。各市町村から簡易書留で郵送される通知カードはそもそも「転送不要」扱いになっている。自主避難者が現在の居住先で受け取るには、送付先の住所を市町村に届け出る必要があるが、十分に周知されていないという。

また、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手県釜石市でも、仮設住宅などに避難した被災者約6000人のうち、半数程度は住民票を異動させないまま別の場所に引っ越したとみられ、市民課の担当者は「最終的には職員が1軒ずつ訪ねて確認するか、本人が取りに来るのを待つしかない」と話す。【土江洋範、春増翔太】

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