2015/10/11

栃木/16品目出荷制限 今なお… 県産原木生シイタケ 影響長引く

2015年10月11日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201510/CK2015101102000158.html


東京電力福島第一原発事故後、放射性物質の影響で県内でもさまざまな食品が出荷できなくなり、四年七カ月たった今も出荷制限の対象は十六品目に上る。原木生シイタケは農家単位での制限解除が始まって今月で丸二年となったが、まだ多くの農家が出荷できずにいる。全ての制限が解かれるまでの道のりは遠い。 (藤原哲也)

県内で特に影響が長引いている原木生シイタケは十日現在、露地栽培で二十一市町、施設栽培で九市町が国による出荷制限の対象となっている。出荷制限とは別に、乾シイタケも、二十二市町で県独自の出荷自粛が続いている。

ただ、対象地域の全ての農家が出荷できないわけではなく、原木の入れ替えなど県の定めた厳しい工程を導入した農家から、個別に解除が進んでいる。露地、施設栽培の原木生シイタケは十三市町の五十六農家が解除にこぎ着けた。

全国有数のシイタケ産地の復活へ少しずつ歩みを進めているが、現実はそれほど甘くない。

県によると、原発事故前、県内には六百人を超えるシイタケ農家がいたとされるが、出荷制限が解除されたのは、再開を望む農家の50%程度にすぎない。県林業振興課の担当者は「農家の経済的負担に配慮しながら、生産再開の後押しを続けたい」と強調する。

シイタケ以外にも、コシアブラ、タラノメ、ゼンマイなど野生の山菜や野生鳥獣が、県のモニタリング検査で一キログラム当たり一〇〇ベクレルの基準値を超える放射性セシウムを検出し、一部市町で制限が解除されていない。山中の除染が手付かずなのが主な要因という。

野生鳥獣のモニタリング検査を行う県自然環境課の担当者は「放射性物質が雨などで土壌に染み込み、木の実を食べるイノシシなどは土と一緒に放射性物質を取り込んでしまう。(セシウムは)三十年が半減期といわれるが、解除までは相当長い時間がかかるのでは」とみる。

このほか、奥日光の中禅寺湖では、マス類の一部持ち帰りができない。牛肉は実質的に出荷が元通りになっているが、全頭検査で安全が確認できた肉だけを出荷している。

一度起きた風評被害を払拭(ふっしょく)するための努力も、長い時間を要する。モニタリング検査の結果は、県のホームページで公表されている。今後も動向を注視したい。


 ◆宇都宮など7農家解除
東電福島第一原発事故の影響で出荷制限が続く原木生シイタケについて、県は、露地栽培に取り組む宇都宮市と大田原市の計二農家、施設栽培に取り組むさくら市の一農家の出荷制限がそれぞれ解除されたと発表した。

また、施設栽培の乾シイタケについて、那須塩原市の二農家、さくら市の一農家、鹿沼市の一農家の出荷自粛を解除した。この四農家は、原木生シイタケの出荷制限が既に解除されている。

0 件のコメント:

コメントを投稿