2016/01/20

福島特産のキノコ原木、生産復活へ一歩 県が機器開発

(元に戻すことが復興ではなく、まして、原発事故の影響が続く福島県にあっては、まず、住んでいた人たちが生活を取り戻すことが最優先で、そのためには、放射性物質の移行を押さえる対策だけでなく、移住したり生産地を移したりすることもあるでしょうし、放射能の影響の少ない産業に切り替えることも必要になるでしょう。キノコ原木の生産を取り戻すという方針はどうなのでしょうか。 子ども全国ネット)

2016年1月20日 日本経済新聞 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19HCJ_Z10C16A1CR8000/

シイタケなどの栽培に使う「キノコ原木」の全国有数の産地だった福島県で、生産復活の動きが出てきた。東京電力福島第1原子力発電所事故の後、生産量が激減していた。新たに放射能を素早く測定したり、除去したりする機器を県が開発し、本格的な出荷に向けた準備を進めている。

原木はコナラなどの木を一定の長さにそろえ、キノコの菌を植えつける。福島では阿武隈高地などにコナラが密生していることから一大産地だった。2010年の生産量は約4万7千立方メートルで全国3位、県外への出荷量は全国で最多だった。

しかし事故後に生産量は10分の1に。原木の放射性物質の基準値が厳しく定められていることなどが原因だ。

同県石川町の生産業者「阿崎商店」は昨年、玉川村の作業所に「非破壊検査機」と「高圧洗浄機」を導入した。検査機は原木中の放射性物質を30~40秒で測定する能力がある。原木をサンプル検査する際に従来はおがくずにする必要があり、10日以上かかっていた。

一方、洗浄機は水と研磨剤で原木表面を削る機器。県林業振興課によると、原木は土から放射性物質を吸い上げる量が少ないため、表面を削るのが効果的という。

2つの機器は、福島県が独自に開発し、阿崎商店に提供した。1月には非破壊検査機を他の森林組合や郡山市の研究施設に計3台増設。将来的には県内で生産するすべての原木を検査できるようにする考えだ。

ただ、事故前と同じ水準にまで持ち直すには時間がかかりそう。県内最大の原木生産地だった田村市都路地区は14年春までは避難指示区域だった。「(県内で)どれだけの業者が再開にこぎ着けられるかは未知数」(林業振興課)という。

山林を除染するのは難しく、放射線量が高い場所の木を間伐するなどして徐々に線量を下げるしかない。東電からの賠償金がどれだけ続くかも不透明だ。

都路地区などで原木を生産するふくしま中央森林組合の吉田昭一参事は「まだ課題は多く、完全復活までは数十年かかるかもしれないが、少しずつ前に進めるしかない」としている。

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