2016/01/18

川内村で森林間伐再開へ 原発事故後初、出荷も検討/福島

2016年01月18日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160118-043110.php


東京電力福島第1原発事故からの復興に取り組む川内村は新年度、原発事故後中断していた間伐などの森林整備を本格的に再開する。双葉郡内での森林整備再開は初めてで整備を通じて出た間伐材の出荷も検討している。村は、基幹産業の一つだった林業の復活と村の宝とも言える豊かな森林の再生の第一歩に位置付けており、関係者は「村の復興につながる」と期待を寄せる。
森林整備が再開される川内村。林業再生への期待がかかる 

森林が面積の約9割を占める同村は昭和20年代に木炭生産が日本一となり、合わせて林業も発展。長年にわたり村民の手による植樹が続けられ、村有林の面積も県内市町村で最も大きい。しかし、原発事故で降り注いだ放射性物質の影響で森林整備は滞り、林野庁の実証試験などが行われてきたが、再開には至っていなかった。

村は昨年度に新たな森林整備計画を策定。これを受けて新年度、県の森林再生事業を活用して約25ヘクタールで間伐などの整備事業に着手する。県の指針では空間線量が0.5マイクロシーベルトを下回る場所であれば木の伐採ができ、樹皮に含まれる放射性物質が1キロ当たり6400ベクレル以下の場合には出荷が可能。

村は比較的放射線量の低い旧緊急時避難準備区域だった同村第3行政区内の村有地で事業に取り組む計画で、間伐材は市場などに出荷する。この事業を踏まえ、年間100~150ヘクタールで森林の整備を行う考えだ。

県森林組合連合会によると、森林整備再開は林業再開や村の景観維持などにつながるほか、山林の保水能力の向上で未除染の土壌の流出などを防ぐ効果もある。遠藤雄幸村長は「村の財産でもある森林の利活用は大きな課題。村ぐるみで育ててきた森林の再生は復興にもつながる」と語る。

一方、環境省は昨年12月、日常的に人が立ち入らない大部分の森林の除染を行わない方針を示した。未除染の山林で働く作業員の健康管理や伐採した木材を出荷した場合の風評被害も懸念材料だ。同村で林業に携わり、県森林組合連合会長、双葉地方森林組合長を務める秋元公夫さん(68)は「風評被害などについては長い目で支援が必要だ」と話す。一方で「(森林整備再開は)村の復興と林業の再生の大きな一歩」と大きな期待を寄せている。


0 件のコメント:

コメントを投稿