http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160129/k10010389771000.html
東京電力福島第一原発の事故による放射線の影響で、福島県内では一時、400を超える公立の小中学校や高校などで体育の授業などの屋外活動が制限されていましたが、放射線量の低下とともに、こうした活動を制限する公立学校はこれまでにすべてなくなったことが分かりました。
原発事故直後の平成23年6月の時点で、福島県内では公立の小中学校や高校、それに特別支援学校の合わせて827校のうち、半数を超える465校が、子どもたちの屋外活動を制限していました。
その後、学校の校庭の放射線量が下がったことや、保護者の理解が得られたことから、こうした制限をする学校は次第に少なくなり、昨年度は16校にまで減っていましたが、これまでにすべてなくなったことが、福島県への取材で分かりました。
福島県では、肥満傾向の子どもの割合が改善は見られるものの、全国的に高い水準にあり、屋外活動の制限で運動の機会が減っていたことが要因の1つとみられています。福島県は、楽しみながらできる運動を各学校に紹介するなどして、子どもたちの運動不足の解消に取り組みたいとしています。
一方、NHKが各地の自治体などに取材したところ、福島県内の公立の幼稚園では今も屋外活動を制限しているところが4つあり、これらの幼稚園は「保護者の間ではしっかり外で遊ばせてほしいとの意見の一方、一部で放射線への不安の声もあるため、制限を続けている」などと話しています。
屋外活動の制限を取りやめた学校では、子どもたちが制限を気にせず、休み時間などに遊びや運動を楽しむ姿が見られるようになっています。
福島県西郷村では、村内にある5つの小学校で屋外活動を1日4時間以内に制限していましたが、校庭の放射線量が十分低いと確認されたとして、今年度、すべての小学校が制限を取りやめました。
このうち、全校生徒およそ70人の羽太小学校では、休み時間に多くの子どもたちが校庭に出て、縄跳びをしたり雪合戦をしたりして遊ぶ姿が見られるようになりました。
小学校によりますと、制限があったときは、運動会が午前中だけになったり、児童の登下校を保護者が車で送り迎えしたりしていたほか、子どもたちも制限を意識して萎縮している様子があったということです。
屋外活動の制限がなくなったことについて、女子児童の1人は「制限がなくなって、体が動かせるのはいいと思う」と話していました。また、男子児童の1人は「みんなと外で遊べるようになってうれしい」と話していました。
一方、この小学校では、植物の栽培など土を触る活動のときは、子どもたちにマスクや手袋をさせるなどの対策をとっているほか、震災以降、平日は毎日行っている校内の放射線量の測定を、今後も続けることにしています。
羽太小学校の稲林敬教頭は、「子どもたちが時間の制限なく外で元気に遊ぶのが、学校教育の理想です。ただ、震災から5年となり、放射線への意識が薄れてもいけないので、子どもたちが放射線の数値や影響を自分で判断できるよう教育していきたい」と話しています。
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