2016/03/02

3/2~石川/ 県内避難 親子らの愛 愛知の画家が9組描く 

2016年3月2日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2016030202100005.html 

きょうから巡回展示
東日本大震災の影響で石川県に避難する親子やその支援者親子ら九組を描いた絵が、二日から県内五カ所で巡回展示される。愛知県田原市の画家小林憲明さん(41)が「ダキシメルオモイ」と題し、震災後に全国の親子を描き続けている作品の一環だ。モデルの親子は十二日に金沢市内で開かれる朗読会で、絵を前に震災から五年たつ今の思いを語る。(福岡範行)

明るい茶色の麻布に油絵の具で描かれた抱き合う親子の絵が並ぶ。ある子は母親の首に両手を回し、ぴったりとくっつく。別の母親は満面の笑みで、抱え上げたわが子を見つめる。高さ百四十五センチ、幅六十センチの一枚に一組ずつ。子を思う親の愛情が表現されている。

震災直後に次男が生まれた小林さん。震災による東京電力福島第一原発事故後、放射性物質の拡散で子どもの遊び場に気を使わなくてはならなくなった福島県の親らに力添えしたくて、二〇一二年からこの活動を始めた。

親子の思いをじっくり聞き、抱き合う姿の写真を数百枚撮って一枚を描く。福島県二本松市の母子をはじめ、百七十組の聞き取りを終え、九十枚近く描いた。「モデル自身の思いが大切だから」と、描くのは自分で立候補した人だけ。自主避難者がモデルになり始めたのは一年ほど前から。「暮らしを立てることに苦心していて、モデルになるほど心に余裕がない人が多かった」と感じている。

石川県に避難する親子らの抱き合う姿が描かれた油絵=愛知県田原市で 

石川では一昨年から二年連続で作品を展示。昨年の巡回展の際、避難者やその支援者らがモデルに手を挙げた。その一人で、東京都から避難した二児の母親は、甲状腺検査で子どもたちに異常が見つかったことを明かし「子どもたちの『いのち』を、明るい未来を守る為に、もうひと踏ん張りしなくてはと思います」などと決意するメッセージを寄せた。こうしたメッセージは、それぞれの展示会場で読めるように置く。小林さんは「子どもを思う気持ちはそれだけで尊い。一組一組の思いを読んで、考えてもらいたい」と語る。

朗読会は十二日午後一時から、金沢市広坂のしいのき迎賓館で開かれる震災関連イベント「311ありがとう石川」の一つとして行われる。定員七十人で、当日午前十時から会場で整理券を配る。朗読会と巡回展は入場無料。
問い合わせは、311ありがとう石川実行委員会事務局のカフェロサンゼルス=電076(225)7573=へ。

展示日程は次の通り。
▽2、9日 石川県津幡町のサロン「紅茶の時間」▽4~5日 同県穴水町の慶得寺▽5~10日 同県小松市の称名寺▽7~8日 同県宝達志水町の本行寺

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