2016年3月3日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160303/ddl/k40/040/379000c
東北、関東から
東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を避けて一時滞在する「保養」の拠点ととして、東北や関東の母子らを受け入れるシェアハウスが福津市にある。地元の女性が2年半前に開設。事故から間もなく5年となるが、内部被ばくの不安を抱えながら幼い子を育てる親たちの「止まり木」として、今もそのニーズは高い。【青木絵美】
シェアハウス「まんぷくハウス」はJR福間駅近くのマンションの1室(3LDK)で、最大3家族が1泊1500円で泊まれる。開設した松岡万里さん(49)や、自主避難後に福岡に移住した人が「サポーター」となり、慣れない地での生活を支えたり、悩みを聞いたりしている。口コミで評判が広がり、これまでに延べ約120人が利用。1歳の娘と約3週間過ごした川崎市の政井洋美さん(31)は「自宅ベランダは放射線量を測るといまだに高く、呼吸も浅くなった。土に触れ、深呼吸できる暮らしがこんなにありがたいとは」と言う。
松岡さんは、震災直後から支援物資を車に積んで自主的に福島に出向くなど活動。被ばくの影響を学ぶ中で、チェルノブイリ原発事故後に線量の低い地域で一定期間を過ごす「保養」が体の回復に有効だったと知り、取り組みを始めた。夏休みなどは、近くの海で海水浴を思いきり楽しむ子どもの姿もある。
昨年になって尿中から微量の放射性セシウムが検出された母子など、見えない被ばくへの不安に終わりはない。仙台市から4歳と1歳の息子を連れて来た岩井桐子さん(40)は「病名がついてからでは遅い。自分で情報を取りながら動いていきたい」と前を向く。
松岡さんは「シェアハウスは移住に向けた生活のイメージがつきやすく、利用者同士が『一人じゃない』と安心感を持つ意味でも良かったと思う」と話し、今後も息長く母子らを支えるつもりだ。
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