2016/03/16

【報道まとめ】栃木/県北住民の証言集と県内の甲状腺検査受検者らのアンケート結果完成報告会

栃木/原発事故被災者に不安 「親同士でも話せない」

2016年3月16日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ3H5FCDJ3HUUHB00L.html

東日本大震災で被災した県北住民の証言集と県内の甲状腺検査受検者らのアンケート結果の完成報告会が15日、宇都宮大であった。調査したのは宇大の「福島原発震災に関する研究フォーラム」。震災から5年を迎えても、放射能汚染問題について自由に議論できない現状や、子育て世帯の多数が甲状腺検査を含む健康調査を国や自治体に望んでいることが示された。

証言集の聞き取り調査は2015年2月から1年間かけて実施され、那須塩原市、矢板市、塩谷町の住民12人が匿名で証言。アンケートは同じ15年、県内2市2町が行った検査会場で165世帯から回答を得た。

フォーラムには県北地域の住民や自治体職員、衆院議員秘書ら約60人が集まった。宇大国際学部の清水奈名子准教授は「栃木県北における被災経験と今後の支援ニーズの分析」と題して結果を報告した。

清水准教授は証言集から、学校や公園などへの汚染の不安を抱いても、風評被害を恐れて親同士でも話しにくい状況にあるという住民の声を紹介。甲状腺検査を受けた165世帯の8割が年に1回、7割が10年以上の健康調査を希望した例を挙げ、「専門家の『安心』という言葉よりも自分たちで安心を確認したいと望んでいる」と指摘した。

さらに、学校の健康診断に甲状腺検査を加えるなどの対策を実現させるために、放射能汚染問題について議論できる環境を整える必要があると話した。

証言集とアンケート結果は宇大の図書館で閲覧でき、希望者には先着50人限定で配布する。送料は希望者負担。問い合わせは清水准教授のメール(nshimizu@cc.utsunomiya-u.ac.jp)へ。(竹内良介)






栃木/県北の放射線影響 身近な不安を口々に 宇大・清水准教授が証言集

2016年3月16日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201603/CK2016031602000181.html

東京電力福島第一原発事故後、宇都宮大国際学部の清水奈名子准教授が県北部の住民に放射線の心配や影響を聞き取りした証言集が完成し、宇都宮市の宇都宮大で十五日、完成報告会が開かれた。「県北に(原発事故の)被害が集中したことで、県全体への風評被害を気にして不安を声に出せなかった人がいる」。五年たった今も聞かれるさまざまな声を紹介した。 (後藤慎一)

清水准教授は二〇一五年二月~今年二月、那須塩原市や矢板市、塩谷町の十~七十代の男女十二人に聞き取りを実施。その内容を「原発震災後の栃木県北に暮らす」「栃木県北の被災経験を語る」という二冊の冊子にまとめた。

被災者の思いに言及した清水准教授は、那須塩原市の四十代の女性が「幼稚園に除染の提案をしても『何も心配はいらない』と言って同意してくれなかった」と語った言葉を振り返った。六十代の女性の「健康調査をしたわけでもないのに、有識者が『安心』と説明するので、かえって不安が増す」という声も取り上げた。

また、那須塩原市の十歳の男子児童は「家では、外で土をいじらないように言われたけど、学校で言われたことはない」と話したとした。

放射線の影響を調べるため、民間団体が那須塩原市など二市二町で行った甲状腺検査にも触れた。検査で不安は一時的に解消されたが、今後も定期検査を求める世帯が大多数を占めたという。

甲状腺検査を求める住民団体「那須塩原放射能から子どもを守る会」の手塚真子(まこ)代表は「検査をしてもらいたいのは、無事を確認したいから。検査を終えた母親はほっとしている。会場で話をして帰ることができるのが大事」と強調した。

清水准教授は「事故直後の最も深刻だった時に子どもたちを守れなかったことが、十年後、二十年後にどのような結果をもたらすか不安という(声が多い)ことが、アンケートから分かった」と指摘した。会場では、小学校の健康診断で子どもの甲状腺検査を同時に行うよう求める意見も聞かれた。

県北部の被災状況を参加者に説明する清水准教授
















事故に対応できず悔いも 栃木県北の原発被災者証言集 宇大のフォーラムが報告会

2016年3月16日 下野新聞
http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/safe/news/20160316/2266760

東京電力福島第1原発事故を経験した県北地域の被災者の証言集報告会が15日、宇都宮大で開かれた。証言集には事故後の体調や暮らしぶりの変化などが体験談として語られ、年月が経過しても消えない不安が生々しく記録されている。

まとめたのは同大の「福島原発震災に関する研究フォーラム」。市民団体「那須塩原・放射能から子どもを守る会」の関係者ら10~70代の男女12人(那須塩原10人、矢板・塩谷各1人)から2015~16年、フォーラムの同大教員が聞き取った。

「低線量被ばくに無防備にさらされた」(60代女性)「幼稚園に除染を提案したが対応してもらえなかった」(40代女性)。証言には事故後の対応が遅れた後悔、鼻血のような体調変化におびえる心情などが表れている。

「健康調査を実施してデータをとり続ける必要がある」(40代女性)と長期の対応を求める声もあった。

証言集は全2冊で、市民団体の活動記録も収録。県内の図書館などに配布するという。

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