http://mainichi.jp/articles/20160308/k00/00e/040/201000c
東京電力福島第1原発事故後、放射線量の高い地域の子供たちを福島県外の山や海に招く「保養」が各地に広まった。同県南相馬市のNPO法人「南相馬こどものつばさ」は、全国の自治体や市民グループと連携し、地元の子供らを林間・臨海学校に送り出すと同時に、受け入れ先の人に来てもらうことに力を入れている。事故から5年。保養にとどまらず、双方向の交流に発展させることで復興につなげる考えだ。【野間口陽】
福島・南相馬のNPO
「さあ、しし鍋だよ」。3月5日、南相馬市鹿島区の仮設住宅集会所。事故が起きた2011年から毎夏、南相馬の子を受け入れている福井市殿下(でんが)地区の住民ら14人が、持ってきたしし肉を調理し、小中学生ら約20人にふるまった。半年ぶりの再会に笑顔が広がる。「つばさ」理事長で宮司の西道典さん(56)は「子供たちが古里に対して前向きな気持ちになってもらえれば」と交流の狙いを語る。
福井からの一行の代表者、竹原健一さん(72)は「当初は保養の子たちがなぜあんなに表情豊かに遊び回るのか分からなかったが、被災地に足を運び、理解できた。行き来することでより深く交流したい」と話した。
西さんは11年6月、PTA連絡協議会会長を務めていた地元中学の授業を視察した。武道館を仕切った「教室」にすし詰め状態。室温は39度あったが、生徒たちは放射線の影響を心配して長袖、長ズボンにマスク姿だった。
西さんは県教委と保養の計画を始めた。ネットを通じて富山県南砺市など各地から支援の申し出があり、夏休みに北海道から沖縄までの約20カ所で保養キャンプが実現。子供と家族約1000人が参加した。観光地の土手では子供たちがごろごろと転がった。「他の観光客が不思議そうに見ていたが、当時の南相馬ではできなかったこと」と振り返る。
福島県南相馬市の子どもの保養を受け入れている福井市殿下地区の住民らとの交流会で、 思い出を語り合う西道典さん(中央)=南相馬市鹿島区で2016年3月5日野間口陽撮影 |
0 件のコメント:
コメントを投稿