2016/03/14

原発事故で根強く残る風評被害 農水産物輸入解除国は3分の1以下 

2016年3月14日 産経新聞
http://www.sankei.com/economy/news/160314/ecn1603140002-n1.html

東京電力福島第1原発事故から5年が経過した現在でも、日本の農水産物の輸入禁止を解除したのは、規制措置を取った54カ国・地域のうちわずか17カ国にとどまっていることが、農林水産省の調査で13日わかった。日本の近隣ほど規制は厳しく、解除の見通しは立っていない。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に備え、農林水産業の競争力強化が急がれる中、被災地の生産意欲をそぎかねない状況が続いている。

被災地を中心とした特定の都県に対し、日本の輸出額の多い香港、台湾、中国、韓国などは依然として規制措置を継続。輸入を認めても、政府が作成した放射性物質の検査証明書や産地証明書の提示が必要で、風評被害の影響は根強く残っている。

政府は、日本産物の放射性物質は安全基準を下回っており、規制措置は科学的根拠に乏しいと各国に訴え続けているが、水産物を輸出していない内陸県の農産品まで対象になる不可解なケースもある。それどころか韓国と台湾は規制を強化しており、政府は昨年5月、世界貿易機関(WTO)に韓国を提訴する事態にまで発展している。

農水省によると、現時点で安全基準を上回る放射性物質が検出されるのは、ごく一部の市町村のシイタケや野生の獣肉など数品目に限られるという。各国の規制解除の動きは遅く、その理由について農水省は「汚染水問題の報道などに日本近隣ほど敏感に反応している」と指摘。「規制を維持した方がリスクがないと判断する傾向にある」と分析する。

一方で、影響力の大きい欧州連合(EU)は毎年、一部規制を緩和しており、政府はこうした事例も各国に説明し、規制解除を働きかける方針だ。

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