2016/11/16

【報道まとめ2】神奈川/福島避難生徒へのいじめ

福島・原発避難生徒へのいじめ 横浜市教委「現場への指導足りず」

2016年11月16日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201611/CK2016111602000156.html?ref=rank

東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に避難してきた中学一年の男子生徒(13)のいじめ問題で、市教育委員会の岡田優子教育長らが十五日、記者会見した。被害生徒が市立小学生時代、四年間にわたりいじめられていたことについて「(長期間)苦しい思いをさせて申し訳なかった」と陳謝した。だが、保護者や生徒に面会して直接謝罪するかどうかは「検討中で未定」と明言を避けた。

生徒は市立小学校五年の時、遊ぶ金をせびられ、不登校になっていた。いじめ防止対策推進法では、金銭被害や不登校があれば「重大事態」として第三者委員会で調べるよう定めているが、学校や市教委は保護者から直接調査の申し入れがあるまで、一年半も対応を放置していた。岡田教育長は「当時は重大事態と認識できなかった。保護者から相談のあった二〇一四年六月には重大事態と考えるべきだった」とした。

岡田教育長は第三者委の調査が遅れた理由を「まずは、いじめの事実確認を優先した」と釈明。しかし、被害生徒の代理人が公表した、生徒友人の母親のコメントでは「加害者側の保護者の中には被害生徒の保護者と連絡を取りたいと学校へお願いしても断られていた」、「(話し合いは)保護者同士でやってくれ」などと、学校の「投げやりな態度」を非難している。

岡田教育長は「福島から来ている子どもには、きちんとした支援が必要だと現場に指導してきたが、努力が足りなかった」と重ねて謝罪。学校や市教委の対応の遅れを指摘されると、「なぜ学校がそうなったのか、市教委としても検証したい」と説明した。今後、関係者への聴取で明らかにし、指導や処分を検討するという。 
 (志村彰太)

記者会見に応じる岡田教育長(右)と小林力教育次長=横浜市役所で

福島避難 中1男子いじめで不登校に 転校先の横浜で

2016年11月9日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161110/k00/00m/040/069000c

東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年の男子生徒(13)が、転校先の横浜市立小学校で同級生のいじめを受けたとして不登校になっていることが分かった。保護者が市教育委員会に被害を訴え、市教委の第三者委員会がいじめと認定して報告書にまとめた。生徒側は「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言われ金銭を要求されたと説明している。

報告書などによると、生徒は小学2年だった2011年8月に福島から横浜市立小に転入したが、同級生から名前に「菌」をつけて呼ばれたり、暴力を振るわれたりするいじめを受け、一時的に不登校になった。また、5年の時には「賠償金をもらっているだろう」と因縁をつけられ、ゲームセンターでの遊興費として1回あたり5万~10万円を約10回、10人前後に支払わされたと第三者委の調査に説明したという。

生徒の保護者が14年に学校に伝えたが、学校はいじめ防止対策推進法で定義された「重大事態」と判断せず、その後もいじめは断続的に続いた。保護者が15年、市教委に改めて被害を訴え、本格的な調査が始まった。報告書は「避難で内面的な問題を抱えた生徒への配慮に欠ける。積極的に対応する姿勢がうかがわれない」と指摘し、「教育の放棄に等しい」と厳しく批判している。

市教委は9日に記者会見して「市教委、学校の対応が不十分だった」と認めた。だが、この問題について「個人情報にかかわる。子どもの成長の過程に影響が出る」などとして、いじめの詳細や被害にあった生徒の性別すらも明らかにしていない。【水戸健一】



神奈川/福島避難いじめを放置 横浜市教委に「なぜ」問い合わせ多数

2016年11月11日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201611/CK2016111102000168.html

東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に自主避難した男子生徒(13)が市立小学生時代、長期間にわたっていじめられていた問題で、市教育委員会に十日、二十件以上の問い合わせが寄せられた。「なぜ長期間放置したのか。何をしていたのか」などと、学校側の対応を批判する内容が多かったという。

市教委によると、他に指摘されたのは「今後はいじめにきちんと対応してほしい」「被害に遭った子どもが心配だ」といった内容だった。

市教委は、問い合わせに「真摯(しんし)に取り組み、再発防止します」と回答したが、いじめの内容は「個人が特定される」として答えなかったという。

学校側の対応を巡っては、市教委の第三者委員会が九日出した報告書で「教育の放棄に等しい」などと厳しく指摘。市教委は十日、市内十八区の小中学校長の代表が集まる会合で、校内でいじめの情報を共有し、いじめを見逃さないような態勢をつくるよう指示した。近く、同様の内容を盛り込んだ通知文も各校に送付するが、具体的な再発防止策は「検討中で答えられない」としている。 (志村彰太)

震災避難いじめ/根底にあるゆがみの解消を

2016年11月11日 福島民友新聞
http://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20161111-126287.php

氷山の一角ではないのか。いじめ問題としてだけでなく、本県に対する意識の問題として捉え、対策を講じなければならない。

東京電力福島第1原発事故で、県内から横浜市へ自主避難した中学1年の男子生徒が、転校先の市立小学校で同級生からいじめを受けたとして不登校になっていることが分かった。同市教委の第三者委員会が、いじめがあったと認定する報告書をまとめた。

報告書によると、生徒は小2だった2011年8月に転校。直後から名前に「菌」をつけて呼ばれたり、蹴られたりするなどのいじめを受け、小3になり一時、不登校になった。小5のときには、同級生から「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言われ、遊興費などを支払ったと証言した。不登校はいまも続く。

保護者や生徒の訴えを正面から受け止め、組織的な対応ができていれば、不登校になるような事態は避けられたかもしれない。第三者委が市教委や学校の対応を「教育の放棄」と批判したのは当然だ。避難者は全国各地に散らばっている。二度とこのような事態が繰り返されることがないよう、全国の教育関係者は他山の石にしてもらいたい。

今回の事案は、風評など本県に対する意識の問題が根底にあることを認識する必要がある。原発事故以降の放射線に対する漠然とした不安が、本県に対する不安として残り解消されないままになっているということだ。

消費者庁が8月に行った消費者意識調査では、食品の放射性物質検査が行われていることを「知らない」と答えた人が3割強あり、食品の放射線によるリスクの受け止めに関して「十分な情報がなくリスクの判断ができない」とした人も3割いた。

本県の農林水産物の安全確保に向けた取り組みや、空間放射線量がほとんどの地域で他県と大差ないことなど、本県に関する正しい情報が隅々まで伝わっていないことの表れだろう。

その結果、本県の農林水産物の市場価格は全国平均の価格に比べて落ち込み、震災前の水準に戻っていない。首都圏などから県内への教育旅行も震災前のまだ半分という状況だ。

震災と原発事故の発生から5年8カ月。改めて確認しておきたいのは原子力政策は国策で進められてきたということだ。震災と原発事故に対する関心が薄れる一方で、ゆがんだ風評だけが定着していくような事態の解消に、国は責任を持ち早急に取り組むべきだ。




原発いじめ問題 避難男児に繰り返し暴力

2016年11月11日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20161110-OYTNT50180.html

■支払い150万円か…自殺も考え

2011年の東京電力福島第一原発事故後に福島県から横浜市に避難した男児が市立小でいじめを受けた問題で、男児が複数の児童からたたかれるなどの暴力を繰り返し受けていたことが10日、同市教育委員会などへの取材でわかった。遊興費などとして多額の現金を支払わされたという男児が、自殺を考えていたことも判明。市教委は11日以降、市立小中学校全校にいじめ防止対策の徹底を求める緊急の通知を出す。

市教委などによると、いじめが始まったのは、11年8月に男児が2年生で市立小に転校した直後。3年生になると、避難してきたことを知った他の児童から「支援物資の文房具を持ってこい」などと命令され、持っていくと壊されたという。4~5年生の時にはいじめがエスカレートし、「プロレスごっこ」などと称して複数の児童からたたかれたりした。脚にあざが残ることもあったという。市教委の第三者委員会は一連の行為をいじめと認定した。

5年生だった14年5月頃には、同級生ら約10人とゲームセンターなどで遊んだ際のゲーム代や食事代、交通費を負担。「(東電から)賠償金をもらっているだろう」などと迫られたといい、報告書は「負担することでプロレスごっこがなくなったため、(支払いが)多数繰り返された」とし、男児が執拗しつような暴力を受けて追い込まれていたとみている。関係者によると、男児が支払ったのは総額で約150万円に上る可能性があるという。

一方、遊興費などの負担が始まって間もない5月上旬から中旬には、学校も事態を把握した。だが、1か月後に男児の保護者から連絡があるまで、保護者に知らせていなかった。

学校による調査も進まず、保護者の訴えで市教委が第三者委に調査を依頼したのは今年1月。それまでの間、約1年半にわたっていじめは放置されていた。第三者委は市教委と学校の対応の遅さについて「猛省を促したい」と厳しく批判した。


【産経抄】「放射能がうつる」 

2016年11月11日 産経新聞
http://www.sankei.com/column/news/161111/clm1611110003-n1.html

歌人の俵万智さんは、東京電力福島第1原発事故の後、息子を連れて、仙台市から沖縄・石垣島に移り住んだ。「身勝手」「神経質すぎる」。そんな批判の声に対して、決然と詠む。〈子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え〉。

▼福島県いわき市に住む高木佳子さんは、子供とともにとどまる決意をした。「どうして逃げないんですか?」。無神経な質問に対しては、沈黙を返すのみである。〈逃げないんですかどうして? 下唇をかむ(ふりをする)炎昼(えんちゅう)のあり〉。『鑑賞日本の名歌』から引いた2首である。

▼住み慣れた土地から離れるにしろ、とどまるにしろ、苦難の日々が続く。そんな被災者にとって、腸(はらわた)が煮えくり返るニュースであろう。福島県から横浜市に自主避難した市立中1年の男子生徒が、市立小学校で4年にわたっていじめを受け、不登校になっていたことがわかった。

▼小学2年で転入してまもなく、同級生から名前に「菌」を付けて呼ばれたり、暴力を振るわれたりするようになった。「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」。5年生になると、遊ぶ金をせびられるようになる。金額は多い時に10万円にものぼった。東京新聞によると、父親が当面の生活費として親族から借りていたものだった。

▼父親が学校に相談しても、同級生への指導は行われなかった。昨年12月に市教育委員会に調査を申し入れ、ようやくいじめが認定された。生徒は、修学旅行にも卒業式にも参加できず、今も学校に通えていない。

▼「放射能がうつる」。東日本大震災直後、避難先で心ない言葉を浴びせられた子供がいた、と聞く。非道な仕打ちを受けながら声を上げられない子供は、他にもいるのではないか。


いじめ 福島から避難の生徒不登校 横浜の中1「賠償金あるだろ」因縁

2016年11月10日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20161110/ddm/041/040/124000c

東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年の男子生徒(13)が、転校先の横浜市立小学校で同級生のいじめを受けたとして不登校になっていることが分かった。保護者が市教育委員会に被害を訴え、市教委の第三者委員会がいじめと認定して報告書にまとめた。生徒側は「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言われ金銭を要求されたと説明している。

報告書などによると、生徒は小学2年だった2011年8月に福島から横浜市立小に転入したが、同級生から名前に「菌」をつけて呼ばれたり、暴力を振るわれたりするいじめを受け、一時的に不登校になった。

また、5年の時には「賠償金をもらっているだろう」と因縁をつけられ、ゲームセンターでの遊興費として1回あたり5万~10万円を約10回、10人前後に支払わされたと第三者委の調査に説明したという。

生徒の保護者が14年に学校に伝えたが、学校はいじめ防止対策推進法で定義された「重大事態」と判断せず、その後もいじめは断続的に続いた。保護者が15年、市教委に改めて被害を訴え、本格的な調査が始まった。報告書は「積極的に対応する姿勢がうかがわれない」と指摘し、「教育の放棄に等しい」と厳しく批判している。

市教委は9日に記者会見して「市教委、学校の対応が不十分だった」と認めた。だが、この問題について「個人情報にかかわる」などとして、いじめの詳細や被害にあった生徒の性別すらも明らかにしていない。【水戸健一】


原発避難の生徒にいじめ 無念の4年、被害生徒の父「時間返して」

2016年11月10日  東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016111002000137.html

東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学一年の男子生徒(13)が、市立小学生時代に避難者であることを理由にいじめを受けていた問題で、生徒の父親が九日、本紙の取材に応じた。いじめは避難直後から少なくとも四年に及んでおり、「学校がちゃんと対応してくれず、卒業式にも出られなかった。時間を返してほしい」と訴えた。 (志村彰太)

父親によると、一家は放射能の影響を恐れて避難。生徒は小学二年の二〇一一年八月、市立小に転入した。直後から同級生から「菌」や「放射能」と呼ばれたり、蹴られたりした。支援物資として提供された文房具を取られたこともあり、三年のころから休みがちになった。

さらに五年になると、「(原発事故の)賠償金をもらっているだろ」と言われ、ゲームセンターや観光地の同市みなとみらい地区で遊ぶ金をせがまれた。多い時には十人に十万円を支払い、一カ月半の間に計約百五十万円に上った。

生徒は父親のお金を内緒で持ち出していた。自主避難のため賠償金は数十万にとどまり、親族から当面の生活費を借りて家に置いていた。生徒がそのお金を使い果たし、財布のお金を持ち出したときに、父親が気付いた。生徒は「お金を持って行けば、いじめられなかった」と話したという。

父親が学校に相談すると、学校側は「お金が絡んでいるので警察に相談してください」と言うだけで同級生への指導はしてくれなかったという。生徒は六年になると、一度も登校しなかった。

父親は学校に不信感を抱き、弁護士に相談。学校側やいじめたとされる同級生の保護者らと話し合ったが、改善せず、昨年十二月に第三者委に調査を申し入れた。

父親は「避難者ということで少しのいじめは覚悟していた。しかし、学校が対応してくれず、いじめがエスカレートしていった」と振り返り、「子どもには、修学旅行も行かせてあげたかったのに、できなかった」と無念を語った。

◆報告書 目立つ黒塗り
自主避難した男子生徒のいじめ問題で、有識者でつくる横浜市教育委員会の第三者委員会は九日、林文子市長にいじめの原因や再発防止策をまとめた報告書を提出した。林市長は「申し訳ない。現場に緩みがあったのは間違いない」と対策を検討する考えを示した。だが、市教委が報道陣に公表した報告書は黒塗りが多く、校内で何が起きたのかを市教委自らが説明することはなかった。

生徒の父親から相談を受けた弁護士によると、報告書では生徒が受けた暴言や暴力は「いじめ」と認定。遊ぶ金を負担させられたことは「いじめを背景に起きた問題」としている。だが、市教委は「個人が特定される」として、生徒が受けたいじめの内容を記した部分は公表しなかった。

市教委はこの日の会見で「高学年になると、親との信頼関係が失われ、事実関係の聞き取りができず、いじめが長期化した」などと釈明した。報告書では、この学校側の言い分を「言い訳にしても不適切」と厳しく批判している。

横浜市教委が報道機関に公表した第三者委員会の報告書。いじめの概要などが黒塗りになっている 

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