http://mainichi.jp/articles/20161111/ddl/k07/010/009000c
内堀雅雄知事は12日で就任2年となるのに合わせ、毎日新聞など報道各社の取材に応じた。福島第1原発事故による自主避難者への住宅無償提供打ち切りに根強い反対があることについて、県の住宅支援は続けるとしながらも、一部避難者が現状を伝えるために求めている知事との面会には、消極的な姿勢を示した。(聞き手・曽根田和久、土江洋範)
--就任から間もなく2年が経過する。
就任以来、現場主義でやってきた。引き続き、(第1原発の)廃炉汚染水対策、被災者の生活再建、産業再生など原子力災害の克服に取り組んでいく。
--自主避難者への住宅無償提供が来年3月末で打ち切られる。県の対応は「丁寧」と言えるのか?
除染の進捗(しんちょく)や、食品の安全性の確保など生活環境が整いつつあり、応急救助の考え方から県独自の支援策へ移行することにした。昨年12月に制度の枠組みを公表したが、避難者や支援団体の意見、要望を踏まえて一部を見直した。住宅確保策として県営住宅の優先入居を実施しており、さらに中通りを中心に170戸を提供する予定だ。各世帯の事情を丁寧に伺って県全体で対応したい。
--知事に面会を求める自主避難者もいるものの、実現していない。面会の考えは?
こういう案件は世帯や自治体ごとに置かれた状況が違う。個別の対応を県という組織を挙げてさせていただく。
--埼玉、新潟県などは、自主避難者を独自に支援している。福島県民の支援は、一義的に福島県や国に責任があるのではないか。
避難者には、それぞれの選択に応じ、一日も早い帰還や生活再建を果たしていただきたい。各県の独自施策によって、避難者の生活再建に向けた選択肢が増える。ご協力に感謝したい。各自治体と連携しながら、きめ細やかな対応を進めたい。
--県民健康調査の甲状腺検査は、今後、どうあるべきか。
甲状腺検査のあり方については、さまざまな意見をいただいている。引き続き(専門家らによる)検討委員会で議論を進めていただき、検査への不安や疑問に対し丁寧に説明する。
--9月県議会では検査体制の維持を求める請願が採択された。
基本は子どもたちの健康を長期に渡り見守っていくことだ。議会としての考え方もいただいた。この二つは重要な基軸。子どものためにどういう県民健康調査がいいのか、不断に考えて対応したい。
--原発事故の風評被害対策として、知事は、再三外遊して海外へのアピールを繰り返している。県の対策は効果を上げているか。
県内の外国人の延べ宿泊者数は、昨年は震災前の約55%だったが、今年は上半期で対前年約1・7倍に伸び、一定の手応えを感じる。(インターネットで動画広告を展開する)豪州でのデジタルプロモーションも大きな反響があった。現地目線で斬新な取り組みを引き続き展開したい。
■人物略歴
うちぼり・まさお
東大経済学部卒。1986年に旧自治省(現総務省)に入省。2001年に福島県に赴任し、企画調整部長などを経て06年から副知事を約8年務めた。長野市出身。52歳。
内堀雅雄知事 |
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