http://mainichi.jp/articles/20161125/ddl/k07/040/189000c
環境省が来年度から東京電力福島第1原発事故の汚染物質を取り除く除染事業を大幅に縮減し、予算の膨張に歯止めをかける方針を示したことに対し、県内の自治体から不安の声が上がっている。避難指示区域外の除染を担当する市町村では、除染への住民の同意が得られていない例が少なくないうえ、効果が不十分で再除染を実施する場合も、予算執行を最終的に判断する環境省の基準がこれまで以上に厳しくなることが確実だからだ。【大塚卓也】
南相馬市の桜井勝延市長は24日の記者会見で、来年度の国の予算が大幅に縮減されることについて「(影響を)危惧している」と述べた。18日には同省の小林正明事務次官を訪ね関連予算の継続などを求める要望書を手渡した。だが、関係者によると、小林氏は「現地(出先機関の福島環境再生事務所)とよく話をしてほしい」と答えるにとどまったという。
環境省は、放射線量の高い帰還困難区域を除く地域で一斉に行う1回目の除染(面的除染)を2017年3月末で打ち切る方針だ。17年度以降は例外的な再除染(フォローアップ除染)と廃棄物の仮置き場の原状復旧費を計上する。概算要求額は約3000億円で、補正後の予算額が約8500億円だった16年度から6割以上の削減になる。
ただ、地元自治体では想定通りに進んでいない実情がある。南相馬市が実施した除染では、連絡がとれない、当面は戻る予定がないなどの理由で約700世帯の住民の同意が得られておらず、来年3月までに終了する「めどは立っていない」(担当者)という。
市が「抜け道」と期待する再除染の間口もすでに狭まり始めている。同市はこれまで、1回目の除染終了後の調査で、平均空間放射線量が毎時0・23マイクロシーベルト(年換算で1ミリシーベルト)を上回る世帯を再除染の検討対象にしてきた。
しかし、環境省は最近、平均空間線量ではなく、住民一人一人の被ばく線量が年1ミリを超えたことを示す計測結果などより精密な資料の提示を要請。市が同市原町区片倉の十数世帯の再除染を打診したところ4件しか認められず、住民が抗議する事態になっている。
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