2015年4月11日 岩手日日新聞
http://www.iwanichi.co.jp/ichinoseki/1025.html
市、産地再生へ大きな一歩
県は10日、国から一関市に出されていた露地栽培原木シイタケの出荷制限指示が一部解除されたと発表した。今回解除されたのは2人の生産者で、今後の検査で基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回れば出荷できる。一部とはいえ同市で主力の露地栽培の解除は、シイタケ産地の再生に向けて大きな一歩になりそうだ。
東京電力福島第1原発事故による影響で、同市の露地栽培原木シイタケは2012年4月、県の放射性物質検査で基準値を大きく上回る放射性セシウムが検出され、県の出荷自粛要請に続き国から出荷制限指示が出された。市の調査では、市内の原木シイタケ生産者の7割が生産再開断念の意向を示すなど、産地崩壊の危機に立たされた。
それでも早期の出荷制限解除に向け生産者は、県の「放射性物質低減のための栽培管理チェックシート」に沿い、県北部などから原木を調達し植菌。ほだ場の落葉層を除去し、放射性物質の影響を低減させた上で徹底した栽培管理に取り組んできた。
県林業振興課によると13年春に植菌、14年秋に収穫された市内の生産者2人のシイタケを検査した結果、基準値を大幅に下回り、「ガイドライン(チェックシート)に従いきっちり取り組み、今後も基準値をクリアできると判断された」という。
県が国と数カ月に及ぶ協議の末、2人の解除が決まった。出荷可能なのは、11日以降収穫されるシイタケ。2人の生産者はほだ場ごとに出荷前検査し、基準値を下回れば出荷できる。
県は、同様の栽培管理に取り組み出荷を希望する生産者のシイタケを順次検査。基準値を下回れば、国と解除に向けた協議を進める。市内では同様に取り組んできた生産者数人が検査を予定しているとみられ、今後出荷可能な生産者は増えてきそうだ。
県、市も生産再開へ各種施策を講じてきた。県南広域振興局一関農林振興センターの小野正隆所長は「生産者はかつて経験したことのない膨大な作業を行ってきた。こうした地道な努力が実り、今後生産再開を目指す生産者にとって大きな励みになる。県として今後も、産地再生に取り組む生産者をサポートしていきたい」と強調。
市の高橋一秋農林部長は「非常にうれしいニュースで、シイタケ産地復活への大きなステップになる。これを励みに、多くの生産者に露地栽培再開にチャレンジしてほしい。まだまだ、現状は厳しいが、市も生産再開を目指す農家を全面的に支援していく」としている。
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