2015/04/18

福島/震災後初のサケ漁を今秋再開


毎日新聞 2015年04月18日
http://mainichi.jp/select/news/20150418k0000e040219000c.html

2011年3月の原発事故で全町避難が続く福島県楢葉町を東西に流れる、本州最大級のサケの名産地として知られた木戸川で今秋、震災後初めてのサケ漁と稚魚のふ化事業が再開される。昨秋に遡上(そじょう)してきたサケの放射性物質濃度が検出限界値未満だったことを受けたもの。同町は避難指示解除に向けた準備宿泊が始まっており、木戸川漁業協同組合(松本秀夫組合長)は「漁を早く元の姿に戻し、町の復興の一翼を担いたい」と意気込む。

木戸川は1982年に1000万匹を育成できるふ化場が完成して以降、遡上数が増加。95年に本州一の遡上数を記録し、震災前年までベスト5入りを続け、県内外から観光客や釣り客を集めた。だが、震災の津波で河口付近など3カ所のふ化場と簗(やな)場は全壊。町は原発事故で警戒区域となり、修復できなくなった。

12年8月、町は避難指示解除準備区域に再編され、除染や道路などの復旧が本格化。サケは放流から遡上まで4年程度かかり、放流中断の期間が長くなるほど将来のサケ漁に影響を与えることから、漁協は昨年4月、いわき市の別の組合から約1万匹を譲り受けて放流を再開。今年の帰町を目指す町や県と、簗場やふ化場の修復計画を進めてきた。

その結果、新しい簗場がほぼ完成し、漁期の9月に震災後初となる漁を再開させることを決めた。ふ化場も10月に完成する見通しとなり、町と漁協は来年4月、6年ぶりに自前でふ化させた稚魚の放流を目指している。

漁協は17日、河口の手前約1キロ付近で、別の組合から譲り受けた体長約5センチの稚魚約1万匹を放流した。震災前の回帰率は1%未満だったが、松本組合長は「一匹でも多く戻ってほしい」と語り、稚魚の入ったバケツをそっと川面に傾けた。



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