http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150412_11019.html
東日本大震災の被災者向け災害公営住宅の整備が進む仙台市で、福島県から県外避難してきた被災者が仮設住宅に取り残されようとしている。公営住宅に入居するには、仙台に住民票を移す必要があるためだ。古里への絶ち難い思いに補償問題も絡み、身動きが取れずにいる。
<対象外を懸念>
「自分たちには行き場がない」。福島第1原発事故から逃れ、仙台市若林区の仮設住宅で子ども2人と暮らす女性(38)が嘆く。住民票は南相馬市に置いたまま。できれば住環境の整った公営住宅に入居したかったが、申請を諦めた。
福島県からの避難者が仙台の公営住宅に入居するには「応募の締め切り日までに仙台市に住民登録しなければならない」など幾つかの条件がある。「原発事故による健康被害が将来、子どもたちに出てこないか心配だ」と不安を抱える女性。「住民票を移してしまったら、福島県民が対象となる補償制度ができたときに補償対象から外されるかもしれない」と胸の内を明かした。
仮設住宅で聞き取り調査をしている市生活再建推進室は「古里に戻りたいが、本当に戻れるのだろうかと悩み、再建方針を決めかねている人が多い」と説明。住民票を移すと東京電力からの賠償金をもらえなくなるのではないかと心配する避難者もいるという。
<狭まる選択肢>
市の公営住宅は、2016年3月末までに3206戸を整備する。計画の6割を超える2008戸が既に完成し、仮設住宅からの転居も始まっている。一方、市内の仮設住宅で暮らす福島県からの避難世帯は472世帯。住民票を移して公営住宅に入居するのは21世帯にとどまる。
市災害公営住宅の一般抽選による入居募集は既に終了。入居世帯が決まっていない119戸は、これまでの抽選で外れた高齢者世帯や低所得世帯に割り当てられる。福島県からの避難者の選択肢はさらに狭まる。
市の震災復興計画は本年度が最終年度。仮設住宅の基本的な延長入居期限(5年)も目前に迫る。福島県からの避難者は生活再建の方向性を見いだせないまま、入居が進む公営住宅を複雑な思いで見つめている。
入居者の退去が進む仙台市内の仮設住宅と新たに完成した災害公営住宅 |
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