http://apital.asahi.com/article/news/2015100100021.html
子力空母「ロナルド・レーガン」の甲板を除染する乗組員ら =2011年3月23日(米時間22日)、ロイター |
スティーブ・シモンズさん |
■原告250人超える
作戦に従事した元海軍大尉のスティーブ・シモンズさん(37)に会うため、記者は米ユタ州を訪ねた。
元乗組員たちは2012年12月、「東京電力福島第一原発事故で東電が正しい情報を示さず、被曝(ひばく)した」としてカリフォルニア州の連邦地裁に東電を相手取って提訴。シモンズさんも訴訟に加わる。
「現場海域に着いてから3日後の11年3月15日、艦長が『脱塩水を飲まないように』と命じたが、シャワーを浴びたり、水を飲んだりしたあと。その後も、甲板の洗浄に汚染された海水を使った」「強い放射線にさらされ続けた。東電が正しい情報を出していれば違った対応がとれたはず」
シモンズさんは帰国後、様々な症状に苦しむ。
「11年末、車を運転中に突然気を失った。歩けなくなり、髪の毛が抜け、体重も十数キロ激減。足の痛みは腕や胸に広がり、膀胱(ぼうこう)不全などを発症。退役軍人病院の医師は『放射能の影響だろう』としています」
米国防総省は昨年、連邦議会へ報告書を提出。乗組員らが受けた放射線量は一般の米国人が自然界から受けるより低いとし、健康被害との因果関係は考えられないと主張している。
「乗組員全員の検査をしていない不完全な報告書。飲料水の汚染は検知器の誤作動だったとしているのも不可解」「元乗組員2人が死亡。私は海軍に16年以上勤めたので医療費を受けられるが、20代の仲間は健康問題が生じると保障もなく海軍を追い出されている」
横須賀では配備反対の声のほか、「完全に除染されたという客観的証拠を示すべきだ」との指摘もある。
「(配備は)日米政府間の信頼醸成には資するが、地元が安全性に疑問を抱くのも当然。米側に正しい情報を求める権利がある」
訴訟の弁護団が入手した電話記録や航海日誌によると、レーガンは11年3月13日、福島県沖で原発からの放射性プルーム(雲)の下に入り、通常の30倍の強い放射線にさらされた。3月16日深夜から17日朝にかけても約5時間にわたってプルームの下に入った。
原告は250人を超え、10億ドル(約1200億円)の救済基金の設立を要求。東電側は「政治的問題なので裁判になじまない」などとして却下を求めている。
(核と人類取材センター・田井中雅人)
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