http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20151001/CK2015100102000208.html
環境省が塩谷町の全戸に郵送したダイレクトメール(同町提供) |
高濃度の放射性物質を含む「指定廃棄物」の処分場(長期管理施設)候補地となった塩谷町の全世帯に、環境省が処分場計画への質問や意見を募るダイレクトメールを送ったことが、同省への取材で分かった。町が地元説明会の開催を一貫して拒否する中、住民一人一人に処分場計画への理解を促す狙い。地元では、「住民の声を国に伝えたい」「国とは関わりたくない」といった複雑な思いが聞かれる。 (大野暢子)
塩谷町が公開した文面によると、環境省は「塩谷町のみなさまへ」と題し、「処分場計画への考えや思いを寄せてほしい」と希望。質問や意見を書く紙と返信用封筒も同封されていた。
環境省によると、郵送は九月二十九日付。これまで宇都宮、大田原両市で計三回開いたフォーラムやホームページなどで計画を周知してきたが、塩谷町民に手紙を出したのは初めて。同省の担当者は「質問には誠意を持って答える」とした。
これに対し、塩谷町の担当者は「国から事前の連絡はなかった。処分場問題は県の課題なのに、なぜ町内にだけ郵送したのか」と反発。国に電話で抗議した。
町の主婦岩間綾子さん(48)は「返信の数が『町民の間に処分場計画への理解が広がった』とする実績づくりに使われたら不本意だ。個人的には慎重に対応したい」と不安をにじませた。
一方で最近、環境省の訪問を受けたという男性町議は「処分場候補地は関東・東北水害で被害を受けた。候補地の現状や住民の不安を伝えたい」とも語った。
また、国と町の間に立つ県は、国による地元説明会の実現を望んでおり、町への働き掛けを強めている。
福田富一知事は二十九日の県議会一般質問で、「塩谷町が国の説明を聞く前段として県との意見交換を希望するのであれば、町と協議する」と答弁。ただ、町側には「国と県の立場に大きな違いはなく、協議にどれほどの意義があるかは疑問だ」との声もある。
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