2015/10/03

福島での被ばくに関する論文が米災害医学専門誌に発表される

(すでに4年半が経っている現在、なぜ、事故直後とその1年後の比較の発表なのでしょう。分析にはそれほど時間を要するということでしょうか。1年での影響はなくても、その後はどうなのかが気になります。「被ばくへの恐れや不安による健康影響が懸念されていたが」という研究チームの姿勢にも疑問が残ります。また、影響がないからと言って、1ミリシーベルト以上の被ばくを強いている状況をよしとする内容には、納得できません。 子ども全国ネット)


健康悪化は見られず 比較的高い線量地区での居住
2015年10月03日 福島民友

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151003-017644.php

原発事故で放射線量が比較的高い地域になった相馬市玉野地区の住民について、事故直後の2011(平成23)年5月と、約1年後の12年7月の健康診断の結果を比べた結果、生活習慣病につながる健康指標の悪化は見られなかったとする論文を相馬中央病院(相馬市)や東大などの研究者でつくるチームがまとめ、2日までに米災害医学専門誌に発表した。研究チームは「被ばくへの恐れや不安による健康影響が懸念されていたが、実際には影響は見られなかった」とした。

比較的高線量の地域で生活することが必ずしも生活習慣病の悪化につながらないことを示す結果で、今後の県民の健康管理の在り方に影響を与えそうだ。

玉野地区は全村避難が続く飯舘村と接しており、避難区域外では最も放射性物質による汚染があった地域の一つ。県などによる11年7月の放射線量調査時は、毎時0.59~2.91マイクロシーベルト。

体重の増加や高血圧が生活習慣病のリスクとなるが、体重は約1年間で56.55キロから55.81キロに0.74キロ減少し、血圧も低下した。一方、善玉コレステロールの減少など、若干悪化しているとみられる指標もあった。研究チームは「全体として、生活習慣病について大きな影響は与えていない」と結論付けた。



原発事故後の県内、県外避難 内部被ばく量大差なし 
南相馬市総合病院医師ら発表 

2015年10月03日  福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2015100325738

原発事故による内部被ばくは避難しなかった人に比べ、県外避難した人はやや少なかったものの、臨床的に大きな差は見られないことが研究者の分析で分かった。初期の空気の吸引による内部被ばくは存在したものの、ごく小さい値だった。

南相馬市総合病院の坪倉正治医師らが国際的な専門誌に発表した。

事故の4カ月後、同病院で内部被ばく検査を受けた521人の結果を解析した。

このうち県内避難は232人(44.5%)、県外避難は209人(40.1%)で、ほとんどが事故後1週間以内に避難していた。セシウム134が検出されたのは279人で全体の53.4%だった。

避難と内部被ばくの量の関係を、性別や生活習慣などの条件を加味した数値で比較すると、避難しない場合と比べた相対リスクは屋内避難が0.88、県外避難が0.86となったものの、医学的な見地からは問題となる差ではなかった。

避難しない場合と避難者に内部被ばくの大きな差がなかったのは、事故後の食品規制が効果的に働いたためとみている。


高線量地域での短期的生活 

生活習慣病悪化せず 相馬中央病院医師ら発表

2015年10月03日  福島民報
http://www.minpo.jp/news/detail/2015100325739

放射線が比較的高い地域での短期的な生活は、生活習慣病の明らかな悪化に結び付かないことが相馬中央病院非常勤医師の石井武彰氏らの研究で分かった。国際的な専門誌に発表した。

東京電力福島第一原発事故後、比較的高線量地域である相馬市玉野地区の住民約500人を対象とした健康診断と、内部・外部の被ばく検査の結果からまとめた。

平成23、24年に実施した健康診断では、体重や血圧の低下があった一方、善玉コレステロールの減少や白血球の微減などがみられた。被ばくに関する不安に伴い屋外活動が減ることなどで健康への影響も懸念されたが、農業の再開などによる普段通りの生活によって、生活習慣病の著しい悪化にはつながらなかったとみている。

24年6~8月に行われた内部被ばく調査で小児の内部被ばくは未検出だった。大人の27.4%からは検出されたが年間被ばく量は1ミリシーベルト未満だった。外部被ばくは23年が年間1.3~4.3ミリシーベルト、24年が同0.8~3.6ミリシーベルトで、地域の空間線量から推定される値より低かった。遮蔽(しゃへい)効果や除染によって、安全性を担保できる程度に被ばく量をコントロールできることを示したとしている。


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