2015/10/08

「核」に翻弄される人々映すドキュメンタリー映画 高崎で上映/群馬

2015年10月6日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201510/CK2015100602000198.html



「わたしの、終わらない旅」の一場面=シネマテークたかさき提供
「核」に翻弄(ほんろう)された人たちのまなざしから、その本質に正面から迫ったドキュメンタリー映画「わたしの、終わらない旅」がシネマテークたかさき(高崎市あら町)で九日まで上映されている。監督の坂田雅子さん(67)=みなかみ町=は三日の舞台あいさつで「福島の事故(東京電力福島第一原発事故)を忘れない。映画を作って、発信し続ける」と作品への思いを込めた。 (大沢令)

坂田さんの母静子さんは一九七六年ごろから原発の危険性に警鐘を鳴らしていた。

反原発運動に身を投じるきっかけになったのは、英仏海峡の島に住む静子さんの長女で、坂田さんの姉から静子さんに届いた一通の手紙だった。姉が住む島の対岸に、仏ラ・アーグの核燃料再処理工場があった。「放射能で牛乳や海産物が汚染されている」。そんな不安を訴えていた。静子さんは七七年から、原発の危険性を問うガリ版刷りのミニコミ紙を発行し、駅前で一人で配り始めた。

二〇一一年三月、福島で原発事故が起きた。いたたまれない気持ちになり、一九九八年に亡くなった静子さんの遺稿集「聞いてください」を読み返した。

「どうしてこんなことになったのか」。事故を自分の目と足で確かめようと、福島を何度も訪ねた。漁業関係者や牧場主、原発労働者などのインタビューを百時間も重ね、核の時代とその未来を問う旅を始める。

米国が大規模な核実験を繰り返したマーシャル諸島では故郷を追われたビキニ島民に出会い、核燃料再処理工場の対岸の島に住む姉を訪ね、カザフスタンでは旧ソ連の核実験場だったセメイ(旧セミパラチンスク)で汚染が続く大地で生きる人たちの苦悩と向き合った。それぞれの証言から、深刻な現実を浮かび上がらせている。

舞台あいさつで、坂田さんは「原発再稼働や原発輸出など、人間の権利に反するようなことが行われている。安保法案が通ったことにもがっかりしたが『私たちは微力だが、無力ではない』との若者の言葉に勇気づけられた。微力であるものがいつか集まることを信じ、映画を作って発信し続けたい」と述べた。

料金は一般千七百円。

問い合わせはシネマテークたかさき=電027(325)1744=へ。

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