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東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の発生から4年9カ月。南相馬市は地震、津波、原発事故といった複合災害と向き合い続けてきた。復興の志を抱き、自ら望んで被災地で懸命に働く医師や研究者の姿が、復興途上の地域に新たな活力をもたらしている。同市の医療機関で、地域の医療再生や放射線不安の解消などに心血を注ぐ医療関係者3人の姿を追った。
「頑張っている人たちの姿を見てるから、自分も頑張ろうと思える」。南相馬市立総合病院で働く英国人女性は屈託のない笑顔を見せる。レポード・クレアさん(22)は現在、被災地の病院で働く医師の姿に刺激を受けながら、仕事の合間に避難住民の健康について研究を進める。
共に働く医師の姿に励まされながら、ひたむきに研究を続けるクレアさん |
同病院には原発事故後、本県の医療支援に入った医師たちがいた。昼夜を問わず懸命に働く医師、震災前の日常生活を少しでも取り戻そうとする市民の姿から、福島の本当の姿を理解した。
専門は、世界中で疫学調査などを行う「国際保健」。現在は災害の影響が被災者の健康にどのような影響を及ぼしているのかについて研究を進めている。
同市小高区の市立小高病院に出張することもある。主に接するのは、避難生活を送りながら通院生活を送る住民だ。「被災後に多くの糖尿病患者が血糖コントロールを悪化させている」。避難生活の中で糖尿病を悪化させ、苦しむ住民の姿を目の当たりにしながら、災害発生時は「どんな人にどんな病気のリスクが高いのか」との疑問が頭に残った。
勤務医の英語論文に対して助言するなどの仕事をこなしながら、医師からカルテの読み方などを教わり、避難生活と糖尿病との関係解明に没頭する。世界中の人々の健康を守ることに応用できるよう、論文にまとめる考えだ。「収入や地位などによる病気リスクの違いを研究することは将来の世界的な災害発生時に大いに貢献できる」。純粋な思いが被災地の復興を後押しする。
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