http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20151221224619.html
新潟日報社と東京新聞の合同世論調査では、東京電力福島第1原発事故による避難者への損害賠償について、不十分だとする回答が本県、東京ともに半数を超えた。事故から4年9カ月。広範囲で長期にわたる放射能汚染により帰還できない避難者への国や東電のこれまでの姿勢に対し、厳しい視線が向けられていることが浮き彫りになった。
原発事故で避難した福島県民への損害賠償について、「不十分」が本県は24・6%、東京は30・2%。「どちらかというと不十分」と合わせると、本県は52・5%、東京では60・9%に及んだ。「十分」「どちらかというと十分」は、合わせても本県は9・0%、東京は7・2%にすぎなかった。
避難した福島県民への賠償 |
逆に「原発をすぐゼロにすべきだ」とした人では、「不十分」「どちらかというと不十分」を合わせた回答が本県は70・5%、東京は86・1%に上った。
政府は復興指針で、帰還困難区域を除く区域の避難指示を2016年度末で解除するとしている。避難指示が解除された区域の住民に対し、東電が行う精神的賠償については18年度以降の方針が示されていない。
一方、指示区域外からの自主避難者にはもともと継続的な賠償はない。賠償ではないが、避難生活を支えてきた借り上げ住宅の無償提供も16年度末で打ち切られる。福島県はその後2年間程度、所得要件に基づいて家賃の一部を補助する見通しだが、避難者から強い不満の声が上がっている。
福島県のまとめによると、避難者数は11月末現在、約10万3千人に上る。そのうち県外避難先では東京が約5800人で一番多い。本県には約3500人が避難している。
◎避難者「心強い」「ありがたい」
福島の避難者への損害賠償が不十分だと考える人が多いことに対し、県内の避難者からは「ありがたい」「心強い」との声が聞かれた。
県が20日に新潟市中央区で開いた避難者向けの個別相談会には、福島県二本松市から新潟市南区に避難するパート従業員女性(39)の姿もあった。借り上げ住宅の期間延長などを相談に来たという女性は「子ども2人と避難しているが、世論調査の結果は心強い。東京電力の誠意のなさが一般にも伝わっているのではないか」と話した。
福島県南相馬市から下越地域に避難する女性(32)は「賠償が不十分だと思う人が多いことはありがたい。今後も福島の避難者に関心を持ってもらいたい」と語った。
東京経済大の礒野弥生教授(環境法)は「福島の住民への損害賠償が不十分と答えた人は予想以上に多かった。支援賠償を打ち切る動きが強まっているが、多くの人がおかしいと感じている。政府や行政は支援を継続し生活再建への施策に転換するべきだ」と話した。
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