2015/12/22

森林整備だけでも...」 福島県内の林業関係者"痛切"

2015年12月22日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151222-037364.php

原発事故で汚染された森林をめぐり、日常的に人が立ち入らない地域の大部分を除染しない方針を国が示したことに対し、県内の林業関係者からは「このままでは山が荒れる。森林整備だけでもしてほしい」との声が上がった。一方で、県土の7割を森林が占める状況から「全てを除染するのは現実的に難しい」との声も漏れる。 

森林が村の面積の約8割に達する飯舘村。同村森林組合の佐藤長平組合長(64)は「村の8割を除染しないことになる。村民の帰還意欲にも関わる」と表情を曇らせる。

組合は村有林や民有林の間伐を手掛け、スギなどを手入れしてきたが、原発事故で育林のための活動は休止状態だ。「このままでは山が荒れる。保水力が落ち、土砂崩れなど災害の恐れも出てくる」と不安を口にした。村民が山菜採りなどで山に親しんできたことも踏まえ「最低限でも里山の頂上までを除染すべきだ」と話した。

葛尾村で林業を営む大槻勇吉さん(66)は「除染しなければ林業再開は難しい」とする。三春町に避難する大槻さんは原発事故の影響で「木を切っても売れない」との理由から林業再開を考えていないが、「少し山に入ると放射線量が高い場所がある。除染はした方がいい」と語る。

県森林組合連合会長で川内村から田村市に避難する秋元公夫さん(68)は「県土の7割を森林が占める。全ての除染を求めたいが、現実的には厳しい」と苦渋の表情を見せた。

双葉地方森林組合長も務める秋元さんは「住民が帰還できるようにするためには生活圏の除染を最優先すべき」と強調。その上で「森林の放射性物質を減らす対策として間伐などがある。森林の環境回復に向けてどのような管理を進めればいいか、早急に方針を示してほしい」と国や県に方向性を明示するよう要望する考えだ。

環境省に対して森林除染の方針を示すよう要求してきた県森林計画課は「森林除染を一切行わないというわけではないと受け止めている」とし、「森林全体の効果的で効率的な除染の検討や生活圏の安全を確保する具体的な対策を示すよう求めていきたい」とした。

0 件のコメント:

コメントを投稿