2015年12月15日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015121527384
県は平成28年度、東京電力福島第一原発事故で旧緊急時避難準備区域が設定された田村、南相馬、広野、川内の4市町村の住民帰還と生活再建を促すため、各市町村が取り組む事業に補助金を交付する方針を固めた。制度の詳細は今後詰めるが、市町村の使い道をなるべく制限せず、自由度の高い補助金とする方針。商業施設などの生活関連サービスの復旧や地域経済活性化に向けた支援などを想定している。
14日に開かれた12月定例県議会の代表質問で、自民党の吉田栄光議員(双葉郡)の質問に内堀雅雄知事が答えた。
予算規模は数十億円規模になる見通しで、県の基金を財源とするほか、国にも財政支援を求めている。
国、県、民間による福島相双復興官民合同チームは現在、避難区域が設定された12市町村の商工業者らを個別訪問し、事業者の帰還や再開に向けた支援策を検討している。ただ、事業者からは「住民が戻らなければ事業の再開は難しい」との声が少なくない。
4市町村の旧緊急時避難準備区域は23年9月の一斉解除後も住民帰還が活発ではなく、県としても支援策の上乗せが必要と判断した。旧緊急時避難準備区域が設定された5市町村のうち、楢葉町の対象区域はごく一部で、全町避難となったため、国などの支援策が講じられている。
内堀知事は「住民帰還が進まない状況で事業者は再開をためらい、商業施設などが再開されない状況では住民が帰還をためらうというジレンマがある。こうした課題を市町村とともに解決したい」と述べた。
4市町村の住民帰還をめぐっては、田村市都路町が8月末現在で約65%の1702人。南相馬市は10日現在で1万600人が市外に避難している。広野町は町民の半数の約2500人が町内に戻った。川内村への帰還者は1日現在、63%に当たる1735人。
※旧緊急時避難準備区域
原子力災害対策特措法に基づき平成23年4月22日、東京電力福島第一原発から半径20~30キロ圏内の広野町全域と田村、南相馬、楢葉、川内の各市町村の一部に設定された。緊急事態が発生した場合、直ちに屋内退避や避難ができるよう備えておく地域で、住民は自主避難を促され、子どもや妊婦、入院患者らは立ち入らないよう求められた。政府は同年9月30日、5市町村の同区域を一斉解除した。
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