2015/12/22

苦悩抱え5年、笑顔の忘年会 松戸の交流サロンで避難者と支援者ら

2015年12月20日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201512/CK2015122002000140.html

東日本大震災・東京電力福島第一原発事故で松戸市内などに避難している被災者と支援者らの忘年会が、松戸市の交流サロン「黄色いハンカチ」であり、五十人が参加した。「故郷に戻るか」など、避難者は苦悩や将来への不安を抱えて迎えた五回目の年末だが、笑顔で食事や合唱を楽しみ、思いを語り合った。

サロンのスタッフをしている福島県南相馬市から避難している女性(66)が「心を寄せ合って、未来に向かいましょう」と呼び掛け、和やかな雰囲気に包まれ、始まった。
乾杯する避難者と支援する市民ら=松戸市で 
松戸市福島県人会の男性は「四年前に訪れた被災地で『忘れないでほしい』と言われたが、今、風化を非常に感じる。支援を続けていきたい」とあいさつ。歌に合わせた手遊びもあり、笑い声があちこちで上がり、童謡「ふるさと」などを合唱した。

サロンでつながり、今春から活動する「自主避難を語り合う会」の代表で、南相馬市から避難している佐藤利雄さん(68)は「集まってくれたみなさんのおかげで明るくなれた」と感謝。一方で、支援を縮小して帰郷をせかすような国などの動きに「私たちに忘れろということか」と憤る。息子の家族四人と同市から避難する女性(66)は「いろいろ考えるとうつになるから…、もうすぐ丸五年になるけれど、将来への不安はみんなが今もあると思う」と吐露した。

にぎやかな様子に目を細めながら、サロンを運営する民間団体「東日本大震災復興支援 松戸・東北交流プロジェクト」の古宮保子代表(78)は「避難者も年齢を重ねて必要な支援も変わり、深刻化している」と個々のニーズに応じた支援の必要性を訴えた。

県に届けられている岩手、宮城、福島の三県の避難者数は三千七百五十二人(十一月三十日現在)。昨年同期より少し減っている程度で、福島県は最も多く三千三百十四人。 (飯田克志)

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