2015/12/31

避難生活いまだ18万人強…復興に願い


2015年12月31日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160101/k00/00m/040/047000c

東日本大震災の被災地は31日、5回目の年越しを迎えた。復興庁によると、津波で家を失ったり、東京電力福島第1原発事故で住む場所を奪われたりして避難生活を送る人は約18万2000人。「良い年になりますように」。被災者は、古里の復興に願いを込めた。

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津波で自宅を流され、夫の金男(かねお)さん(当時89歳)を失った宮城県石巻市の藤野さよ子さん(83)は、4年過ごしたプレハブ仮設住宅から災害公営住宅(復興住宅)に移り、初めての年越しを迎えた。おせち料理を大みそかから食べるのが郷里の習わしで、遺影とともに夫が大好きだったホタテ、タコの刺し身やカキのお吸い物のごちそうを囲んだ。

太平洋にせり出す同市雄勝(おがつ)町名振(なぶり)地区にあった自宅は海から数百メートル。夫婦でホタテやワカメを養殖し、長男夫婦と孫2人の3世代6人で食卓を囲むのがいつもの正月だった。金男さんは震災時、風邪を引いて入院中。病院の3階建ての建物ごと波にのまれた。

「夫は正直者で、世渡り下手でね」と話すさよ子さん。昨年4月から、広い復興住宅に移り、寝室に仏壇と遺影を置いて時々、「おかげで元気に過ごせています」と語りかけている。

1人暮らしだが、近くに姉妹や子どもらもおり、12月30日には妹が地元でとれたタコを持って訪れ、31日には孫の絵理香さん(34)が「また正月に来るね」と温かい茶わん蒸しを届けに来てくれた。

「震災前のにぎやかな正月を思い出すと少しさみしいが、孫も会いに来てくれる。おじいさん(金男さん)には『もう迎えに来ていいよ』って言ってるけど、私は申(さる)年で年女。健康第一で笑って暮らせる1年になるといいな」【百武信幸】

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