東京電力福島第1原発事故を受けて、福島を含む8県の水産物の輸入を全面禁止している韓国が、「同地域の水産物は放射能汚染と関係なく、(韓国)国内流通が全面禁止される」と日本側に伝えていたことが2日、情報公開請求で外務省と農林水産省が明らかにした外交文書で分かった。韓国に対してはすでに世界貿易機関(WTO)に提訴済みで、政府関係者は「韓国の輸入禁止は科学的根拠がない不当な差別で、風評被害を助長している」と説明している。
原発事故後、54の国・地域が日本の食品や水産物などの輸入を規制した。その後、徐々に規制の撤廃が進んでいるが、輸入禁止の措置をとる国・地域は韓国を含め、現在も9つある。
産経新聞は外務省と農水省に対し、平成23年3月の原発事故後から27年9月末まで、それら9の国・地域の輸入禁止についての対外交渉記録一式の公開を請求した。
入手した文書によると、韓国の海洋水産部などが25年9月、「放射能汚染と関係なく」全面輸入禁止を日本側に通告。その理由は「(福島第1原発の汚染水漏れ以降)日本政府がこれまで提供した資料だけでは今後の事態を正確に予測することが難しいという(韓国)政府の判断によるものである」と明示している。
政府関係者によると、日本は正確な情報を提供しているにもかかわらず、この通告が現在も通用しているという。複数回の交渉でも事態は全く好転せず、27年8月、「不当な差別」としてWTOへ提訴した。
韓国側文書では「(韓国)国内産食品に対する放射能検査基準も強化した」として、その経緯も記載。さらに「日本産水産物が(韓国)国内産を偽装して流通することを元から遮断する」とも記されている。
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