2016/01/06

27年産米基準超ゼロ 県、ブランド再興目指す 放射性物質検査 /福島

2016年1月6日 福島民報

東京電力福島第一原発事故に伴うコメの放射性物質全量全袋検査で、県が昨年末までに調べた平成27年産米約1030万点全てが食品衛生法の基準値(1キロ当たり放射性セシウム100ベクレル)を下回った。原発事故発生後、初めてで、県は検査結果を風評の払拭(ふっしょく)と県産米ブランドの再興につなげたい考えだ。

県は県内の各JAなどと連携してカリウム肥料の散布や土壌の深耕・反転耕などを繰り広げてきた。こうしたセシウム吸収抑制対策が奏功したことに加え、セシウムの自然減衰が背景にあると分析している。

県は検査結果を活用し、昨年9月に策定した県風評・風化対策強化戦略に基づく国内外でのトップセールスを強化する。さらに販路の回復と新規開拓を小売業者や流通業者に活発な取り引きを働き掛けていく。

生産年ごとの検査結果は【表】の通り。27年産は昨年末までに1030万7119点を検査し、検出下限値未満が全体の99・99%を占める1030万6498点だった。基準値を超過した数は24年が71点、25年が28点、26年が2点で減少傾向にある。

一般的に新米とされる生産年の8月から12月末までの検査で基準値超過ゼロを達成したのは2年連続。しかし、26年産では昨年7月の調査で県北地方の農家が生産したコメ2点で基準値超過が発覚した。

この農家は自治体の意向調査で26年産米を「作付けしない」と回答していたが、知人からもらった苗を一般には流通しない自家消費用として作付けしていた。

県は同様のケースがないよう市町村などを通じて「作付けしない」と答えた農家の生産状況など事後確認を徹底している。また、昨年の基準値超の事態を受けて全量全袋検査を受けるよう呼び掛けるチラシを初めて農家全戸に配布した。

27年産の検査結果について県水田畑作課の芳見茂課長は「コメは農業の象徴的存在。基準値超えゼロで本県農業全体への安心感が高まる」と県内の農業全体への波及効果を期待している。


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