2016/02/26

大崎・化女沼の魚、セシウム半減に420日 /宮城


2016年2月26日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160226/ddl/k04/040/179000c

実験値の3倍遅く「食物連鎖で吸収続く」

東京電力福島第1原発事故で大崎市の化女(けじょ)沼に生息する魚が体内に取り込んだ放射性セシウム濃度が半減するのに成魚で420日かかり、追加被ば くがない環境での実験値の3倍近く遅くなっていることが近大の山崎秀夫教授(環境解析学)らの共同調査で分かった。【山田研】

山崎教授は「問題視するような汚染度ではないが、事故から時間がたっても食物連鎖などで放射能の吸収が続いていることが裏付けられる」と分析する。表層 の水は出入りするものの魚類の移動は無い化女沼では、プランクトンを食べた小魚をさらに大きな魚が食べて濃縮されたセシウムが、その死体を分解するプラン クトンにまた吸収される食物連鎖があるとみられる。

2012年5月〜15年10月、NPO法人「エコパル化女沼」(同市)が採取したバスやブルーギルなどを調べたところ、バスの成魚から12年に食品の基 準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える最大185ベクレルを検出した。平均77ベクレルだった。ただ14年以降は全て基準値を下回り、15年には平 均23ベクレルまで減った。ギル成魚の平均値も4年間で56ベクレルから20ベクレルに減った。

山崎教授はデータを基に生態学的半減期を両種とも420日と算出した。これまでの各国の研究では、セシウムに汚染された水槽に一定期間入れた後できれい な水に移して調べた際の半減期は、内水面の淡水魚で約150日だった。山崎教授の調査では、食物連鎖以外に卵の汚染も判明した。ただ親魚と比較すると、濃 度はほぼ半分だった。

山崎教授は「汚染度が高い福島県の内水面や山林では食物連鎖による汚染継続を想定した対策を取るべきだ」と指摘する。

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