2016/02/29

避難指示6月解除か ごみ回収5月終了 南相馬・住民説明会 /福島

2016年2月29日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160229/ddl/k07/040/135000c

南相馬市の居住制限区域と避難指示解除準備区域を4月中に解除する方針を示した国と市による計4回の住民説明会が28日終了した。桜井勝延市長が解除の新たな要件に加えた伐採樹木などの「片づけごみ」の回収について、担当する環境省の関係者は同日、毎日新聞の取材に「終わるのは5月半ばごろになる」と説明した。ごみの回収に対する市の確認作業も必要になるため、避難指示解除は6月以降にずれ込む可能性が高まっている。

29日の説明会は、川房、金谷、神山など放射線量が高かった居住制限区域を含む小高区西部の住民が対象で、300人近くが参加した。国は生活圏の除染やインフラ整備などの条件は「おおむね整いつつある」として、改めて4月中の解除に理解を求めた。しかし、反発する住民からは解除時期の大幅な先送りを求める意見が相次ぎ、終了時間は予定より1時20分以上遅れた。

小高区西部の住民から異口同音に聞かれたのは、除染が完全に終わらないまま解除することへの不安だ。「自宅裏の防風林や農地も『生活圏』なのにまったく除染されていない。防風林では今も毎時4・7マイクロシーベルトの放射線量がある」(川房地区の女性)、「地域の水田の半分が(除染廃棄物の)仮置き場になっており、撤去時期のめども示されていない」(小谷地区の女性)、「解体後に除染する近所の家から放射能が飛んでくる心配がある」(片草地区の男性)などのほか、「このような状況では子どもや孫を自宅に呼べず、子育て世代は戻ってこない」という声には会場から拍手が集まった。

住民説明会で国の除染への不安を訴える女性=南相馬市小高区で

国側は、除染後も平均毎時1マイクロシーベルト以上の放射線量の家では、局所的に年20ミリシーベルトの基準を超える場所が残っている可能性があるとして、引き続きフォローアップ(追加)除染を続けていく方針だ。ただ、時期は避難指示解除後になるとしており、住民側の反発は強い。仮置き場撤去の前提になる中間貯蔵施設建設の見通しが立たないことにも国の担当者は謝罪を繰り返すだけだった。

住民の不安を受けて、桜井市長はこの日も「庭先に放置されたままのごみ袋の回収も(解除の)前提として、市としてしっかり状況を確認していく」と説明。これに対し、政府原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長は「除染が終わることは大前提で、けっして日程ありきではない」と柔軟に対応する考えを示したが、「時間がたてばたつほど帰還意欲は薄れていく。時間との勝負とも考えている」と強調し、解除時期を大幅に遅らせることには慎重な姿勢をにじませた。【大塚卓也】

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