http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2016/02/23092629047062.shtml
爆心地から12キロ以内の被爆未指定地域で長崎原爆に遭った「被爆体験者」161人が県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めた第2陣訴訟の判決言い渡しが22日、長崎地裁であった。松葉佐隆之裁判長は、原爆投下による年間積算被ばく線量25ミリシーベルト以上と推定される10人を「3号被爆者」と認定し、県と市に手帳交付を命じた。被爆体験者を被爆者と認める初の司法判断。被爆地域拡大への弾みとなる可能性がある。
10人は原爆投下時、爆心地の東にある旧西彼矢上村や旧北高戸石村にいた。米マンハッタン管区原爆調査団の放射線量測定データを基に、本田孝也・県保険医協会長が推定した10人の外部被ばく線量は25・5~64・9ミリシーベルトだった。
判決で、松葉佐裁判長は10人について「放射性降下物による外部被ばくに加え、放射性降下物を呼吸や飲食等で摂取し、それによって内部被ばくが生じるような状況にあった」とし、身体に原爆放射能の影響を受けるような事情の下にあったとされる3号被爆者の要件に該当すると判断した。
25ミリシーベルト以上とした理由を「自然放射線による年間積算線量の世界平均2・4ミリシーベルトの10倍を超える場合には、健康被害が生じる可能性がある」と説明。その被ばくの環境について、福島第1原発事故で計画的避難区域に指定され、後に居住制限区域に指定された地域と同程度かそれ以上の被ばくをする状況とした。
訴訟で原告側は「行政は内部被ばくの健康影響を十分に検討していない」と主張したが、判決は「内部被ばくのみで健康被害が生じる可能性は認められない」と退け、151人は3号被爆の要件に該当しないとして訴えを却下。提訴後に亡くなった9人は「死亡により訴訟は終了した」とし、遺族の承継を認めなかった。原告側は「原爆症認定訴訟など従来の司法判断は内部被ばくによる健康影響を認めており、問題のある判決」とし、151人について控訴する方針。
一方、第1陣388人は福岡高裁で係争中。3月28日に判決が言い渡される。
大勢の原告が見守る中、「一部勝訴」の垂れ幕を掲げる弁護士ら =22日午後2時16分、長崎地裁前 |
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