2016/02/19

自主避難賠償 県内から期待も 避難者ら、今後の訴訟に注目

2016年2月19日 新潟日報
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20160219236054.html

東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県から京都市内に自主避難した40代の夫婦と子どもが、仕事を失った上、精神疾患を発症したとして、東電 に計約1億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(三木昌之裁判長)は18日、夫婦への計約3千万円の支払いを命じた。

原告側の代理人によると、自主避難者に対する東電の賠償責任が認められた判決は初めてとみられる。

直接交渉や文部科学省の原子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き(ADR)の申し立てや提訴支援に取り組んできた原発被災者弁護団(東京)の共同代表は判決を「避難者救済の追い風になる」と評価する。

新潟県では、東京電力福島第1原発事故で避難を強いられ精神的苦痛を受けたとして、福島県から自主避難している住民らが国と東電に損害賠償を求めて裁判が続いている。原告の自主避難者は「新潟での裁判にいい影響があるといい」と期待を寄せ、今後に注目する。

福島市から胎内市に避難する男性(42)は「司法は腐っていなかった。正しい判断をしてくれた」と歓迎する。ただ、東電の控訴を心配し、「うれしい思いもあるが経緯を見守りたい」と述べた。

 「負けるより勝った方がいいが、この判決で賠償が済んだとされると原告も納得いかないのではないか」と思いを巡らすのは、郡山市から新潟市西区に避難する 女性(44)。近く集団訴訟に加わる予定だが「原発事故で失ったものは計り知れない。黙ったままで納得していると思われたくない」として、個人での提訴も 検討中だ。

本県の訴訟で弁護団事務局を務める二宮淳悟弁護士は「原発事故と精神疾患の発症について、相当因果関係を肯定し、就労不能損 害を認めたなど、評価できる点はある」と説明。一方で「低線量の被ばくによる健康被害への影響の有無を必要以上に重視し、避難の合理性を否定している点な どは問題だ」と指摘する。

本県や他の訴訟への影響については「東電の主張を司法の場で許さなかった点で心強い判決だが、法律構成や主張の異なる訴訟に直ちに影響があるとは考えにくい」と否定的な見方を示した。

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