2016/02/28

ヒロシマの知見 世界救う…国際医師会議/広島

2016年02月28日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/hiroshima/news/20160227-OYTNT50271.html

◇放射線医療 人材育成を
医療従事者の立場から核兵器廃絶を訴える「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」の北アジア地域会議が27日、広島市東区の県医師会で始まった。2日間の日程で、放射線被曝ひばくの人体への影響などについて話し合い、核兵器廃絶に向けた広島宣言を発表する。(松本裕平)

地域会議は被爆70年を記念し、同会議日本支部が放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE◎)などと共催。この日は国内外の医師ら約170人が参加した。

基調講演で、フレッド・メトラー・ニューメキシコ大名誉教授が「被爆者の疫学調査の知見が世界で役立てられ、何十万人を救っている」と被爆者医療の意義を強調。広島で被爆し、12歳の時に白血病で亡くなった佐々木禎子さんについて触れ「核兵器は拡散しているのが現実。サダコさんのことを忘れてはいけない」と述べた。

講演で佐々木禎子さんに触れたメトラー名誉教授(広島市東区で) 

「原爆被爆医療体験の継承と国際貢献」と題したシンポジウムでは、研究者や医師ら4人が登壇した。日米共同研究機関「放射線影響研究所」(放影研、広島・長崎両市)の児玉和紀・主席研究員は、HICAREと国際原子力機関の連携に触れ、「放射線医療に携わる国際的な人材の育成に取り組んでいく」とした。

国際放射線防護委員会のクリストファー・クレメント氏は「広島、長崎の被爆者に敬意を表し、悲劇から得られた研究の結果を世界に発信していくことが我々の義務だ」と語った。広島大の神谷研二副学長は、広島の医師らの福島での活動を紹介。「福島では現時点で放射線による目立った健康影響は出ていないが、今後も注意深く見ていかないといけない」と訴えた。

◎HICARE=Hiroshima International Council for Health Care of the Radiation-Exposed

<核戦争防止国際医師会議(IPPNW)> 冷戦下の1980年に発足。米国やロシアなど62か国に支部がある。核兵器の医学的影響の研究などが認められ、85年にノーベル平和賞を受賞した。IPPNWは「International Physicians for the Prevention of Nuclear War」の略

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