2016/02/24

主張:復興イベント中止 正しい情報で風評払拭を

(開催当日の中止というのは関係者にとっては手痛いものだっただろうが、日本の基準である100Bq/kgを下回っているからといって、その安全性が「科学的根拠に基づくもの」だとは言い切れないわけです。「恐れるなというのではない」というが、正しい知識=政府の定めた基準、とすること自体が横暴であり、事故前の数値を上まわる以上、風評などではない、実害がある、と認めるところからしか風評被害の撤廃は出発できないと思います。 子ども全国ネット)

2016.2.24 産経新聞
http://www.sankei.com/affairs/news/160224/afr1602240003-n1.html

東日本大震災からの復興や日本の魅力をPRするために、外務省が韓国のソウルで予定していたイベントが、開催当日になって中止された。

東京電力福島第1原発事故を理由とした食品の安全性への懸念から、地元自治体のソウル市城東区が開催許可を出さなかった。被災地の復興にとっても、日韓の相互理解にとっても、極めて残念なことだ。

イベントには青森、宮城、福島、鹿児島の4県などが参加し、各地の特産品の紹介などを予定していた。

韓国の市民団体からは、原発事故を理由に「食品の安全性に問題がある」と開催に抗議する声が上がっていた。城東区は「公の場所で原発事故発生地の生産物の無料配布や販売は適切ではないと判断した」という。

被災地や近隣の農林水産物をはじめ、日本の食品は徹底した検査が行われている。今回のイベント中止は、科学的根拠のない風評が、韓国で深く根付いていることを示すものだ。さらに深刻なのは、その風評を行政が追認したことである。日韓の相互理解や市民交流を妨げるものと言わざるを得ない。

韓国は現在も、原発事故を理由に福島、岩手、宮城など8県の水産物輸入を全面禁止している。日本政府は昨年8月、不当な輸入規制の撤廃を求め、世界貿易機関(WTO)に提訴した。

菅義偉官房長官がイベント中止を受けて「正確な情報発信を行い、風評被害の払拭に全力で取り組みたい」と改めて語った。当然の認識である。

韓国での風評は、反日的な国民感情とも絡んで、複雑で根深いものになっている側面もある。日本の生産者や自治体の努力だけでは、払拭は難しい。

政府が先頭に立って「日本の食品に関して、安全性への懸念は不要である」という科学的事実を発信し、日韓の共通認識にしなければならない。

風評の根が、日本国内にあることも忘れてはならない。放射性物質に対する過剰な不安は、産業の再生や住民の帰還を妨げる要因になっている。

「恐れるな」というのではない。放射線のリスクについて一人一人が正しい知識を身につけ、冷静に判断することが、風評の払拭に向けた最大の力になる。

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