2016/03/07

子供甲状腺がんで国際環境疫学会が解明要請

2016年3月7日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160307/k00/00m/040/100000c

東京電力福島第1原発事故の健康影響を調べる福島県の調査で、事故当時18歳以下の子供の160人超に甲状腺がん患者(疑い例を含む)が確認されていることについて、約60カ国の研究者が参加する「国際環境疫学会」(事務局・米国)が、政府と県に詳しい調査や事故とがんの関係についての解明を求める書簡を送っていたことが分かった。がん発症のリスクが大きいと指摘する研究結果を挙げ、現状を「憂慮している」と述べている。

書簡は1月22日、会長(当時)のフランシン・レイデン米ハーバード大教授(環境疫学)名で出された。書簡は、昨年10月に津田敏秀・岡山大教授(疫学)が同学会の学会誌に発表した「福島県の青少年の甲状腺がん患者発生率は全国平均の12〜50倍」とする論文を「従来の推定よりはるかにリスクが高いことを示唆する科学的証拠」と位置付けた。津田氏はこのデータから「被ばくの影響が大きい」と主張する。

書簡では、県民の健康状態を記録・追跡し、原発事故によるリスクをさらに解明する手段を取るよう国や県に要請。専門家組織として調査活動を支援する意向も示した。

患者発生率が高いことの主因については、大規模な検診によって従来は発見されないがん患者が見つかったとする「過剰診断説」を取る専門家が国内では多い。県の検討委員会も2月の中間まとめ案で、被ばくの影響を「現段階で完全に否定できないが考えにくい」と評価した。津田氏の論文に対しては国内外から8通の批判が寄せられ、津田氏はそれらへの反論文を公表した。

同学会の政策委員会で共同議長を務める本田靖・筑波大教授(環境保健学)によると、書簡は政策委員13人で議論し、全員が送付に賛成した。本田氏は「津田氏の論文の正しさに学会として保証を与えるものではない」と説明。その上で「患者発生率が全国平均の10倍を超えるという分析は、過剰診断で説明しきれるか疑問が残る」と指摘した。学会内には、福島県外での甲状腺検査の実施や、がん患者の登録などを求める声があるという。

環境省放射線健康管理担当参事官室の担当者は、同学会の書簡について「参考にするが、書簡が求める継続的な調査などは既に実施している。福島での甲状腺被ばく量はチェルノブイリ原発事故時よりかなり少なく、現時点で影響は考えにくい」と話す。
【高木昭午、須田桃子】




原発事故とがんの関係「解明を」 国際学会、政府と県に


2016年3月7日 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016030701001257.html


東京電力福島第1原発事故の健康影響を調べる福島県の県民健康調査に関連し、米国に事務局を置く国際環境疫学会が日本政府や同県に、原発事故とがんの関係を解明するよう求める書簡を出していたことが7日までに分かった。書簡は1月22日付。

学会には約60カ国の研究者が参加。昨年10月、岡山大の津田敏秀教授が「福島県の子どもの甲状腺がん発症率は日本全体と比べ、12倍以上」などとする分析結果を学会誌に発表。書簡では「リスクが従来の推定よりはるかに高いことを示す科学的証拠を憂慮している」とした。

住民の健康を記録・追跡調査し、原発事故によるリスクを評価するよう求めた。

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