2016/03/05

<原発事故>福島・三春の子 ヨウ素欠乏ゼロ

2016年03月04日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201603/20160304_63012.html

震災復興支援放射能対策研究所(福島県平田村)は3日、同県三春町の小中学生を対象にした調査で、ヨウ素欠乏状態と診断された児童、生徒は皆無だったと発表した。ヨウ素濃度の高さが、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性ヨウ素の体内への取り込みを防ぎ、甲状腺被ばくを減らす方向で作用したことが推測されるという。

研究所は2013年度から、甲状腺検査と同時に、尿に含まれるヨウ素濃度を調査。15年度までに受検した延べ2663人のうち、ヨウ素濃度が最も低かったのは1リットル当たり25.0マイクログラムだった女児で、ヨウ素欠乏状態とされる20マイクログラム以下は1人もいなかった。

放射性ヨウ素は体内に入ると甲状腺にたまり、がんを引き起こす恐れがある。甲状腺のヨウ素が不足すると、放射性ヨウ素を取り込みやすくなるとされる。チェルノブイリ原発事故では周辺の子どもたちに甲状腺がんが多発した。

福島の事故では放射性ヨウ素の放出量が少なかった上、海草類を多く食べる食生活の面からも放射性ヨウ素を取り込む余地が少なかったとみられてきた。福島の子どもたちを対象にしたヨウ素濃度の調査は初めてで、ヨウ素摂取量の多さが数値的にも裏付けられた。

結果を公表した研究所の坪倉正治医師は「福島第1原発事故による子どもの甲状腺被ばくを心配する必要はないというデータの一つになる」と説明した。

研究所によると、延べ3447人を対象とした甲状腺検査で、がんと診断された子どもはいなかった。




日常のヨウ素『被ばく防御』 平田の研究所「がんリスク抑えた材料の一つ」

2016年3月4日 福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160304-054909.php

日常的な食事で摂取したヨウ素が原発事故による放射性ヨウ素の取り込みを妨げ、甲状腺の被ばくに対して「防御的に働いた」と推定できることが、ひらた中央病院(平田村)にある震災復興支援放射能対策研究所がまとめた検査結果から分かった。甲状腺がんのリスクを抑えた判断材料の一つと考えられるという。検査に携わった東京大医科学研究所の坪倉正治氏が3日、検査結果を発表した。

ヨウ素はコンブなどの海藻に多く含まれる。普段の食事などで摂取したヨウ素が甲状腺内に一定量あれば、放射性ヨウ素が入り込む余地を奪うという。チェルノブイリ原発事故では、ヨウ素の欠乏が被ばく要因の一つに挙げられている。

同研究所は2013(平成25)年度から三春町の小、中学生延べ2663人を対象に尿に含まれるヨウ素濃度を調べた。ヨウ素欠乏状態の目安は尿中のヨウ素濃度が1リットル当たり20マイクログラム以下。三春の子どもは最小値が同25.0マイクログラムでヨウ素欠乏状態の子どもはいなかった。平均値は男子が同396.6マイクログラム、女子が同352.0マイクログラムで、ヨウ素の摂取量が多いと考えられる同200マイクログラムを上回ったという。

13年度から同町の小、中学生を対象に行っている甲状腺検査では、検査を受けた延べ3447人のうち、甲状腺がんと診断された子どもはゼロだった。

坪倉氏らは、子どもたちのヨウ素濃度について原発事故当初も同様の状態と推定できるとして、「日常生活の食事の中で(ヨウ素を含む食品を)定期的に食べていたことが確認できた。甲状腺については防御側に働いたと考えられる」と見解を語った。

内部被ばくの検査結果公表

坪倉氏は同病院で行った内部被ばく検査の結果も公表した。14年2月~15年11月末に検査した延べ5607人のうち、3人を除いて放射性セシウムは検出限界値未満だった。検出した3人の数値は1キロ当たり7.2~5.4ベクレルで、キノコや山菜を摂取したことが原因と特定された。

また、乳幼児の内部被ばくを測定できるホールボディーカウンター(WBC)「ベビースキャン」で同時期に検査した0~12歳の子ども延べ2010人全員から放射性セシウムは検出されなかった。坪倉氏は「体内に放射性セシウムを取り込んでいる人の割合は、非常に低い状況を維持している」としている。

尿に含まれるヨウ素濃度の検査結果を発表する坪倉氏(左)=ひらた中央病院 


内部被ばくリスク低く 三春の小中学生 日常的にヨウ素摂取


2016年3月4日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2016030429317

平田村の公益財団法人震災復興支援放射能対策研究所は3日、記者会見し、東京電力福島第一原発事故に伴い村内のひらた中央病院で尿中ヨウ素濃度検査を受けた三春町の小中学生延べ2663人は、日常的にヨウ素を摂取しているため甲状腺内部被ばくのリスクが軽減されていると発表した。原発事故発生時、食品から摂取したヨウ素で甲状腺が放射性ヨウ素を取り込むのを防いだという。

平成25年度から27年度までの検査結果をまとめた。濃度が1リットル当たり20マイクログラム以下の欠乏状態はゼロで、58%が200マイクログラム以上だった。日常的にヨウ素を摂取していたため、放射性ヨウ素を取り込むのを防いでいたと考えられるという。

三春町の小中学生延べ3447人を対象にした甲状腺超音波検査でがんと診断された子どもはいない。

26年2月から27年11月までのホールボディーカウンター(WBC)による内部被ばく検査の結果も公表した。延べ5607人中、放射性セシウムが検出されたのは3人。乳幼児向けのWBCによる検査で延べ2010人全員から検出されなかった。

研究に当たった坪倉正治東京大医科学研究所特任研究員は「内部被ばくのリスクは低い状況だ」と話した。斎藤行世ひらた中央病院長が同席した。



<内部被ばく検査>3人除き未検出 甲状腺がんもなし ひらた中央病院 /福島

2016年3月5日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160305/ddl/k07/040/231000c

平田村のひらた中央病院が院内に設置する公益財団法人「放射能対策研究所」は、同院が2014年2月から15年11月に実施した内部被ばく検査の 結果を公表した。0〜87歳の7617人が検査を受け、3人を除き検出限界値未満だった。3人も1キロあたり10ベクレル未満とかなり低い数値で、研究所 は「日常生活で内部被ばくする状況ではない」としている。

7〜87歳の5607人がホールボディーカウンターで検査を受け、内部被ばくが 確認された3人については自生のキノコや山菜を食べたなど放射性物質を取り込んだ原因もほぼ特定されているという。0〜12歳の2010人は小児用ホール ボディーカウンターで検査し、全員が検出限界値未満だった。

三春町の全小中学生に13年度から実施している甲状腺検査も、13〜15年度の結果をまとめた。延べ3447人のうち12人に疾患が疑われたが、6人は放射線の影響と無関係の甲状腺炎、残る6人の腫瘍はいずれも良性で、がんと診断された子どもはいなかった。

 同病院は原発事故後、内部被ばくや甲状腺検査を継続的に実施している。検査・分析を担当した同院の坪倉正治・非常勤医師は「検査結果などから、日常生活で 内部被ばくを心配する現状にはなく、放射線による甲状腺がんの発症も考えにくい。ただ、放射線への不安を抱える人もおり、継続的な検査は必要」と述べた。 【喜浦遊】



内部被曝、99.9%で検出されず 福島・平田

2016年3月3日 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ3362LVJ33UGTB017.html

福島県平田村で5歳以上の希望者を対象に内部被曝(ひばく)検査をしている震災復興支援放射能対策研究所が3日、2014年2月から15年11月までに検査を受けた県内外の延べ5600人のうち99・9%で内部被曝は検出されなかったとする結果を発表した。

同研究所はひらた中央病院に併設され、東京電力福島第一原発事故の半年後から内部被曝検査をしている。

5600人のうちセシウムによる内部被曝が検出されたのは3人。全員、体重1キロあたり10ベクレル未満で、野生のキノコや山菜を食べたことが原因とみられるという。検査にかかわった坪倉正治医師は「被曝線量に換算すると0・01ミリシーベルト以下で健康への影響はない」とした。

これまでに検査を受けた合計延べ4万6500人でみると、検出限界以下だった人の割合は、11年度91・7%、12年度99・5%、13年度99・6%、14年度以降99・9%と、年々上がりつつある。

一方、14年7月~15年11月に検査を受けた人へのアンケートによると、スーパーで食品を買う際に「福島県産を選ばない」と回答した人の割合は、福島県内の住民約3700人では米や野菜で20%強、魚やキノコ類で40%弱に上った。県外の住民約1100人では米が約5%、魚やキノコ類でも約25%で、福島県の住民の方が県内産食品を避ける傾向がみられた。(大岩ゆり)

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