2016/03/11

自身の被ばくと妊娠・出産 海南友子監督「抱く(HUG)」 子への影響、消えぬ不安


2016年3月11日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160311/ddf/012/200/004000c

映画監督の海南(かな)友子(44)が、東京電力福島第1原発事故による自身の放射線被ばくと妊娠・出産を追ったセルフドキュメンタリー映画「抱く(HUG(ハグ))」(1時間9分)が京都シネマで公開中だ。19日からは大阪・第七芸術劇場でも上映される予定で、海南監督は「3・11を境に運命が変わってしまった。私を通じて、同じ境遇の母親たちのことを考えるきっかけになれば」と訴える。


自身の被ばくと妊娠・出産を追ったセルフドキュメンタリー映画「抱く(HUG)」の
海南友子監督=大阪市中央区で、宮武祐希撮影

東日本大震災直後、福島原発から4キロ地点で取材を続けていた最中に妊娠に気づく。取材中、線量計は毎時2300マイクロシーベルトを示し、警報音が鳴り続けた。国の除染基準値(毎時0・23マイクロシーベルト)をはるかに超える数字だ。「我が子が被ばくしたかもしれない」。子どもを守るため、東京から京都へ移住したが、放射能という見えない恐怖との闘いは続く。自責の念に駆られ、本性をむき出しにして迷い、苦悩する自分にカメラを回し続けた。「母として取り返しのつかないことをしてしまった。今後、子どもにどういう影響が出るのかわからないが、この苦しみや重みは一生消えない」と話す。

映画はすでに第3弾までの撮影を終えている。第2弾は全国に自主避難する母親たち約150人を取材。第3弾では、チェルノブイリの原発事故後、自然エネルギーの電力会社を設立し、社会を変えたドイツの母親らを追った。「あの事故からこんなふうに日本も変われたと言える母になりたい」と語る。【長尾真希子】

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